「セックス」に興味はあっても
「恋愛」には興味がない男性

――「男女のすれ違い」というテーマは特に若い女性が関心を持つように思えますが、実際に購入されている方はどのような層なのでしょう。

五百田 実は男性の方も多く手に取って頂いているんです。それも意外なことに中高年の男性です。この本は「恋愛あるある本にしない」「話し方・伝え方の本にする」と考えていたので、それがビジネスパーソンの男性にも伝わったんだろうと感じています。

五百田 達成(いおた・たつなり)

作家・心理カウンセラー。「コミュニケーション心理」「職場の人間関係」「社会変化と男女関係」を主なテーマに執筆・講演。大切なことをわかりやすく伝える「情報の翻訳家」として活動。モットーは「大人でも知らないことを、子どもでもわかる言葉で」。18万部を超えるベストセラーとなった「察しない男 説明しない女」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)をはじめ著書多数。

――「恋愛あるある本にしない」というと?

五百田 現在、「恋愛」に関心があるのは女性だけなのでは、と実感しています。特に仕事に熱心なビジネスマンは「恋愛ってあの、女の子が好きな、めんどくさいあれでしょ」ぐらいにしか思っていない。「セックス」や「結婚」にはかろうじて興味があっても「恋愛」には関心がない。なので本の内容を「恋愛」に絞ってしまうと、男性は積極的には手に取らないだろう、と。そこは強く意識しました。

 恋愛は、なにも生み出さない非生産的な行為。いわば無駄。そう考える男性は、女性とのコミュニケーションに前向きにならないのも当然です。私自身は、この一見無駄なコミュニケーションにこそ、異性とうまくやっていくコツがたくさん詰まっていると確信しています。明確なゴールに向けて話を進めればいい「仕事」に比べて、ゴールを持たずにああでもないこうでもないとやりとりを重ねる「恋愛」は、はるかに複雑なコミュニケーション。そこのところを軽視している男性が多いのは、残念ですね。

――なぜ男性は異性とのコミュニケーションに興味がないのでしょうか。

五百田 やっぱり「男社会」の会社もまだまだ多いと思いますし、その男中心の世界で仕事に滞りないレベルのコミュニケーションができていれば問題ないと考えがちです。でもそれは本当の意味の「コミュニケーション」ではなくて、ただ連絡や報告がなされているだけなんです。