今年はリスクオンとオフの相場の地合いが数カ月ごとに繰り返されそうだ。米経済は堅調に自律回復しつつあるが、米国以外の世界は緩慢な回復にとどまっている。ドル建て取引の資源など商品相場は、世界需要の伸び悩みで軟調なところに、強い米経済を背景にした“強いドル”が追い打ちとなり、一段安となった。

 昨年来、“強いドル”は原油価格の急落を促す一因となった。“強いドル”の対極では、ギリシャ問題で動揺するユーロの急落も加速した。上のグラフの通り、原油価格もユーロの対ドル相場も見事に連動する。資源輸出に頼る新興国は、商品市況悪化、ユーロ不安、ドル高と米利上げ観測が懸念されて脆弱化した。こうして市場は先行き不安におののき、リスクオフに傾き、日欧国債はマイナス金利の領域に押し込まれた。

 世界経済の回復が緩慢な一方、利上げ前の米国を含め、世界の中央銀行の多くは大胆な金融緩和を継続中であり、投資先を求めるマネーが溢れている。昨年8~10月に急増したリスクオンポジションが、実体経済の鈍さに焦れて巻き戻された。下落相場に転じたことでリスクオフ要因が見直され、今年1月の暗たんたる相場になった。