外食や小売り、介護など、さまざまな職種で叫ばれている人手不足。アルバイトが集まらず、牛丼チェーンの深夜時給は1500円を超える例も出ている。若者がダメならと、シニアと主婦の採用に活路を見出す企業が増えてきた。(ダイヤモンド・オンライン 津本朋子)
ドンキの朝を支えるシニアたち
人手不足の原因は少子高齢化
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「どうせ4時には目が覚めるんだから、早朝バイトは全然きつくないよ」。朝5時から商品の品出し、レジ打ちを担当するシニアが、都心部のスーパーで増えている。ドン・キホーテも、そんな企業の1社だ。昨年7月、ドンキは60歳以上のシニアを対象に約2000人のパート従業員を募集すると発表した。
勤務時間は2~3時間程度と短い。シニア層にとってはむしろ、短時間勤務の方が好まれるのだ。それまでは早朝勤務というシフトはなく、朝出勤してきたスタッフが急いで品出しをするため、作業は昼過ぎまでかかっていたのだが、早朝の品出し業務だけというシフトを新たに作ってシニアを募集することで、開店前に品出しが終了するというメリットがある。
「長年、企業に『シニアと主婦の雇用を考えましょう』と提案し続けてきたことが、ようやく実現してきたと感じます」。リクルートジョブズの宇佐川邦子・ジョブズリサーチセンター長は、こう話す。「シニアは体力がない」「主婦は家庭があるから使いづらい」などの理由で重い腰を上げない企業が多かったが、この1年ほどで、シニアや主婦の雇用がぐっと増えてきているのだ。
背景には、深刻な人手不足がある。首都圏の牛丼チェーンでは深夜の時給1500円を払っても、アルバイトが集まりづらい。アベノミクスによる景気回復による側面もあるが、それ以上に大きな原因なのは少子高齢化だ。
総務省の労働力調査によると、15歳から34歳の労働人口は、2000年約2269万人だった。これが10年には1875万人に減少した。さらに20年には1555万人に減ると見られている。こうしたマクロ指標を見る限り、人手不足は今後も続くばかりか、さらに悪化する可能性も高いように思える。