「この臆病者」ウソまみれの人気記者への一言にスカッと…でも筆者はモヤモヤが止まらない〈風、薫る第53回〉『風、薫る』第53回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラに関する著書を2冊出版し、毎日レビューを続けて12年めの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は第53回(2026年6月10日放送)「風、薫る」レビューです。(ライター 木俣 冬)

夕顔の記事が大好評で第2弾も

 夕顔(夕凪ことセツ〈村上穂乃佳〉)の記事の続報が出た。シマケン(佐野晶哉)がさらに詳しい記事を書いたのだ。

 それを読むと、いかに遊女たちが理不尽な目に遭っているかがわかる。

 家の借金を返すための女郎勤めが親孝行のうちだと言われていたなんて、知らなかったとトメ(原嶋凛)は驚く。筆者も知らなかった。勉強になった。

 これまでは、遊郭で女性が働くことが女性の意思であり、美談にされていたのだ。だが、それまで遊郭を公認していた政府が西洋に倣い、名ばかりではあるが女郎を解放しろというお触れを出した。遊郭としては、商売に支障をきたすので、女郎は自分の意思でやっているとことにして女郎解放に抗っている。

「好きでやってるわけはない」とりん(見上愛)は憮然となる。これは現代にもある話である。

 性的な仕事は男性側が女性に強いていると批判される一方で、好きでやっている女性もなかにはいるという意見も出る。価値観が多様化した現代とは違い、明治時代だとまだ好きでやっている女性はほぼいなかったのではないかと推察する。おおむね貧困、あるいは女性に仕事がないという理由によるものだっただろう。

「雪国の出、なんだ」

 松原(小倉史也)は新聞の続報を読んでさらに夕顔(夕凪ことセツ)に感情移入する。

 その傍らで文(内田慈)は冷静で「だいぶ話を作っているみたいですね」と見抜いていた。

「シマケンさんの腕の見せどころ、といったところでしょう」と卯三郎(坂東彌十郎)は呑気なものだ。

 読者を夢中にさせるシマケンの創作の腕を、槇村(林裕太)が珍しく褒める。

「知らなかった。お前、こんなお涙ちょうだい書けたのか」