
「ダイヤモンドZAi NISA投信グランプリ2026」の「リート部門」で最優秀賞に輝いた投資信託は、「フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド(資産成長型)」(フィデリティ投信)だ。好成績の秘訣は「ホームランを狙うより、徹底したデータ分析によって『ヒットを量産』し続けること」。直近5年の成績の安定度は高い。下落局面での強さも際立つ1本だ。最優秀リート投信の運用の裏側について、ファンドマネージャーの村井晶彦さんに詳しく聞いた。(朝日希新、ダイヤモンド・ザイ編集部)
感情を排し、データに誠実に!
「バランス」に注意しつつ割安銘柄を厳選
――「フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド」は、日本国内で上場する複数のJリートを組み入れて投資する投資信託です。直近3年、5年の成績が、指標となる東証リート指数を上回り、特に「下がりにくさ」において高い評価を得ています。この好成績の要因はどこにあるのでしょうか。
村井晶彦(むらい・あきひこ) さん●2003年にアナリストとしてフィデリティ投信に入社。2011年よりフィデリティ投信ポートフォリオ・マネージャー。2012年12月より「フィデリティ・Jリート・アクティブ・ファンド」の運用にかかわる。フィデリティ投信入社以前は外資系証券で債券トレーダー、クレジット・アナリストを務めた。
村井 私たちの運用の根幹にあるのは、「本来の価値に対して、価格が安いものをコツコツと買う」という極めてシンプルな姿勢です。Jリート全銘柄に対して独自の目標価格を算出しており、その目標に対して現在の価格が割安であれば買い、値上がりして割高になれば売却して保有比率を下げる。この判断を毎日、淡々と繰り返しています。
――「割安」かどうかを判断する際、どのような指標を重視されているのですか。
村井 Jリートで一般的に使われる指標を丁寧に、かつ厳密に使いこなしています。具体的には、保有する物件の価値に対するリート価格の割安度を測る「NAV倍率」や、「AFFO(アジャステッド・ファンド・フロム・オペレーション)イールド」という指標を重視しています。
――NAV倍率は、株におけるPBRに近い指標でよく耳にするのですが、「AFFOイールド」とはどういった指標でしょうか。
村井 AFFOは株式投資における「フリーキャッシュフロー」に近いものです。当期利益に減価償却費を加え、そこから不動産売却損益や建物の価値を維持するための資本的支出を引いて求めます。つまり、AFFOは不動産の現金を稼ぐ力を示しています。そして、AFFOイールドはAFFOを1口当たりの価格で割って算出したもの。数値が高いほど、「不動産の現金を稼ぐ力に対して、今の価格はおトク」といえます。
――そうした緻密な割安度の計算が「下がりにくさ」に繋がっているということですね?
村井 はい。市場全体が楽観的な時、人気のある銘柄は割高になりがちです。私たちはそうした銘柄を早めに削り、逆にみんなが悲観的なうちに割安な銘柄を仕込みます。その結果、逆バリ的な運用になることが多く、相場の下落局面で耐性を発揮します。
ここで私たちが大切にしているのは、一か八かの勝負でホームランを狙うのではなく、「ヒットを量産する」という考え方です。毎日のトレードで0.01%でも市場を上回ることができるように、細かい調整を繰り返すのです。1日で見ればわずかな差ですが、これを10年、20年と積み重ねると、複利の効果で圧倒的な差になります。運に左右される一発を狙うのではなく、再現性のある小さな勝利を拾い続ける。これが私たちのスタイルの本質です。
――定量的な評価については良くわかりました。一方で、数値化できない定性的な評価で重視していることはありますか?






