過剰コンプライアンスの屋上屋
一律のルール化はやり過ぎだ

 社外取締役人材にとって、個々の会社のビジネスを深く理解することは、そう簡単ではないはずだ。そして、理解の浅い取締役は間違いなく会社の足を引っ張ることになるだろう。

 上場企業が、広い範囲から資金を調達し、多くの投資家に対して自社の株式を売買の対象として提供していることを思うと、真に株主の立場から経営者をチェックする役割はあってもいいが、率直にいって、「全上場企業に原則2名以上」というところまで、やる必要があるのだろうかと疑問を覚える。

 現時点で既に、多くの企業が、コンプライアンスの手間とコストを過剰に掛けて、利益を圧迫されたり、ビジネスの勢いを削がれたりしているように思うが、社外取締役の義務化には、これをさらに悪化させる可能性があるのではないか。

 経営の不正をチェックするという目的を重視するなら、たとえば会計監査に入る監査法人を取引所が指定し、時々取り替える、といったルールの方がより効果的ではないだろうか。

 上場企業の大半は、自社の力なりにおおむね全力でビジネスに励んでいる。それでも期待するほど儲からないのは、ビジネスそのものが難しいからであって、ガバナンスが不足しているからではない。必要を感じる会社が使うのは構わないが、社外取締役が日本企業を救うとは思えない。一律のルール化は、やり過ぎだろう。