「計画の実行」の後は、評価と学びの抽出が必要です。的確に評価し、それを本人にフィードバックすることは経験学習サイクルの重要なステップ。さらに、それから学び、持論化することが、次の業務の質を上げ、ひいては成長に導くことになります。今回は連載最終回として、ステップ6、7について、いくつかのシーンと、それに対する「ベストプラクティス=望ましい行動」を示します。(構成:ダイヤモンド社人材開発編集部 間杉俊彦)

シーン1
効果的なフィードバックの流れ、機会がわからない

新任マネジャーのヤマダさんは、部下との対話を意識して意識して実行しようと考えています。ただ、業務経験を振り返る時の手順について、自信が持てません。どのような流れで、何を聞けばいいのでしょうか。

ベストプラクティス1
「フィードバックの4原則」を実践する

 部下の成長を促す効果的なフィードバックを実現するには、4つの原則があります。「聴ききる」「プロセスを承認する」「課題を問いかけ、本人に考えさせる」「アドバイスする」という4つです。順に説明しましょう。

原則1:聴き切る(できればメモをとる)

 まず、部下本人の自己評価を「聴ききる」ことが大事です。その際、できればメモをとりましょう。上司が語るのはその後で、部下に語らせない一方通行のフィードバックは成長につながりません。

 また、本人が語る前に上司の評価を伝えるのは望ましくありません。本人がホンネを語りづらくなるからです。

原則2:プロセスを承認する(ねぎらう)

 成果の大小に関わらず、部下が業務を遂行したプロセスを承認し、ねぎらいの言葉をかけます。そのことが業務に対する承認になります。

 仮に成果が上がっていなくても、ねぎらいの言葉をかけましょう。ねぎらいの言葉もなく、いきなり本人に課題を問いかけても、自分が承認されていない況では部下の心は閉じており、素直に上司の言葉を受け入れません。

原則3:課題を問いかけ、本人に考えさせる

 課題を問いかけながら、部下本人に深く内省させ、今後の対応に関する学び・気づきを誘発します。

 上司が対応策を一方的に押しつけるのではなく、多少、稚拙な点があっても部下本人に対応策を導かせるようにしましょう。それによって、部下のコミットメントが高まります。

原則4:アドバイスする

 部下が導いた対応策が適切であると判断した場合は、コーチング的に関わり、部下の対応策を後押しします。

 一方、部下が導いた対応策のままでは足りない判断した場合には、ガイド的に関わり、部下の対応策を補強するアドバイスを送ります。