
トランプ政権、14カ国に新たな相互関税率
日本には「25%」賦課、8月1日実施を通知
トランプ米大統領は、米国時間7月7日正午(日本時間8日午前1時)過ぎから、日本や韓国など14カ国に対して相互関税の新たな関税率を通知する書簡を送付したことを発表した(図表1)。
日本に対しては新たに「25%」の相互関税(4月2日に公表された相互関税は一律10%関税+上乗せ関税14%の24%)を課す内容であり、8月1日から発効するとしている。
もともと7月9日としていた上乗せ関税発動の猶予期限を実質的に8月1日に延期した格好で、それまでに各国に具体的な譲歩を求める戦略とみられる。
日本政府は強く反発しており、8月1日に向けて米国との協議を進めるとみられるが、見直しが不可欠としている自動車への25%の関税に対して米国側は譲歩の姿勢は示しておらず、日米間の隔たりが依然として大きい状況だ。
トランプ大統領は、これ以上の猶予期限の延長はないとする一方で、新たに銅や医薬品の関税引き上げの意向を表明するなど、トランプ政権による高関税政策が“強硬化”される懸念が強まっている。
仮に「25%相互関税」が発動された場合の日本への影響を試算すると、すでに引き上げられている自動車、鉄鋼などの特定品目への関税影響を含め、対米輸出の減少で実質GDP(国内総生産)の下押し影響は関税賦課後の1年間で▲0.4%程度となり、3年目には▲0.9%になる見通しだ。
業種別にみると、相互関税25%による影響としては北米向け輸出金額の大きい一般機械、電気機械、情報通信機械の下振れ影響が大きい。
企業収益の下押しを通じて設備投資や雇用所得への波及影響が生じた場合には、関税賦課後1年間での実質GDPの下押し影響は0.5%以上と考えられ、日本経済は景気後退入りのリスクが高まる。