巨人復権 大NTTの野心#3Photo by Reiji Murai

NTTグループ34万人のトップに立つ島田明・NTT社長が4年目の任期に入った。NTTドコモに続くNTTデータグループの完全子会社化、年功序列と予定調和を打破する大胆なグループ人事、40年ぶりの社名変更などを果たし、NTT変革の総仕上げに入ろうとしている。特集『巨人復権 大NTTの野心』の#3では、長期化の兆しも見えてきた島田政権の後継レースで有力視される4人の候補の実名を明らかにする。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

グループ再編、脱・年功、NTT法改正…
澤田・島田体制は「8年目」で改革総仕上げへ

 2022年6月に就任したNTTの島田明社長(67歳)は、NTT改革の総仕上げに入ろうとしている。

 前任の澤田純会長(69歳)が社長時代の20年にNTTドコモを完全子会社化したのに続き、島田社長が5月に決めたNTTデータグループの完全子会社化は、足かけ7年にも及ぶ組織再編の一環だった(詳細は、本特集#1『NTTグループ再編は最終章へ、ドコモに続きNTTデータの完全子会社化が決まった全内幕!「完成形」へ次なる一手を大予想』参照)。

 さらに島田氏は「官僚より官僚的」と呼ばれた硬直的なグループの人事制度の改革に着手し、澤田氏が社長時代の21年には管理職を対象に、社長就任後の23年には一般社員を対象に、年功序列を撤廃。24年6月の役員人事では、NTTドコモの社長に、旧来の組織の序列で大本命だったエリート候補を選ばず、中途採用組で当時54歳だった前田義晃氏(55歳)を抜てきしてグループに古くから残る不文律を破壊した。

 さらに、経営を縛ってきたNTT法が、24年と25年の2段階の改正によって規制が緩和されたのを受け、NTTは7月1日、正式社名を日本電信電話からNTTに変更した。1985年の民営化から40年ぶりの社名変更で、NTT法改正で認められた外国人役員の選任も25年6月の株主総会で果たし「新たな40年に向けた新生NTT」を印象付けている。

 NTTの社長の任期は1期2年。前任の澤田氏は2期4年で社長を退任した。島田氏も26年6月には社長就任から4年となり、「澤田・島田改革から8年目」という大きな節目を迎える。

 次ページでは、NTTグループの転換点に当たりそうな26年6月の社長交代の可能性に迫り、島田社長の後継レースで有力視される4人の候補の実名を公開する。