ダボス会議で聞いた
「3つのM」の変化とは

 今年もスイスのダボスで開かれた「ダボス会議(世界経済フォーラム年次総会)」(1月21~24日)に参加してきました。そこで印象に残ったことの1つが、ピューリッツァー賞を3度受賞している米国のジャーナリスト、トーマス・フリードマンの「3つのMが変わった!」という話です。

 3つのMの1つ目は「マーケット(Market)」。これは皆さんも実感している通り、市場がグローバル化したということです。

 会期中、「ハイパーコネクテッド」と「インターディペンデント」というキーワードを何度も耳にしましたが、これもマーケットの変化を意味しています。

 ハイパーコネクテッドとは、直訳すれば「接続性過多」のこと。今やインターネットを通じて、よい情報も悪い情報もすさまじい速さで世界中を駆け巡ります。企業イメージを落とすような情報も止めようがありません。このスピードは私たち人類が経験したことのない速さです。

 一方、インターディペンデントは「相互依存」と訳され、お互いが密接につながり、絡み合っているということ。社会インフラから私生活までIT技術に依存している現在、システムがダウンしたら政治も経済も生活もたちまち大混乱に陥るでしょう。便利になった半面、こうした恐ろしさもあります。

 2つ目のMは「マザーネイチャー(MotherNature)」で、温暖化など激変している地球環境のことです。ビジネスにおいても環境問題への対応が重要な差別化策になっています。自動車メーカーもデザインのよさだけでなく、ハイブリッドカー、電気自動車、水素自動車など環境にやさしいクルマの開発に力を注いでいますね。

 そして、最後のMは「ムーアの法則(Moore's Law)」です。

 ご存知のように、半導体メーカー、インテルの創設者の1人であるゴードン・ムーア博士が1965年に提唱した「半導体の集積密度は18~24ヵ月で倍増する」という法則ですが、これが新しいフェーズに突入したというのです。

 近いうちに、コンピュータ(人工知能)が人間の脳を超えると言われています。コンピュータの進化は私たちの生活にとって歓迎すべきことですが、一方では今後、指数関数的成長に圧倒されることになるかもしれません。