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ビッグデータで人事が変わる!

退職リスク分析で
ハイパフォーマーの流出を防ぐ

北崎 茂 [PwCコンサルティング合同会社]
【第2回】 2015年3月24日
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【図表3】で示すように、「人事の経験知」とデータの示唆が融合することで、人事が退職リスクの抑制といった様々な課題に対する効果的な施策を立案・実行し、従来よりも直接的に事業に貢献することが可能になるのである。

人事データの活用に向けた
第一歩を踏み出すポイント

 1つ目のポイントは、データの収集は、まずは今集められるデータから始めるべきということである。もちろん、自社の現状をもとに筋のいい仮説を設定し、検証に相応しいデータ項目を選定するのが望ましい。ただし重要なのは、必ずしも完璧なデータが揃わなくても分析は行えるということである。今あるデータ項目からでもある程度の精度をもった予測は可能である。

 2つ目のポイントは、ある水準の分析までは、特別なスキルがなくても実施できるということである。確かにより精緻な分析をしようとすれば、複雑な統計分析の知識を要する手法が必要だが、今回挙げたような手順であれば、そこまで高度な統計知識は必要なく、さらにはエクセルなどのベーシックなツールを活用するだけで十分に分析が可能である。

 これらの点を強調したのは、分析のハードルの高さではなく、むしろ「できることからやってみる」ことの重要さをお伝えしたいからである。そもそも、退職率を左右する要因は分析結果に基づく施策の効果やその他社内外の様々な事象に応じて変化するものであり、分析も一度きりではあまり意味をなさない。

 まずは着手し、分析を重ねてPDCAサイクルを継続する中で、より適切なデータを収集しかつ分析のスキルを徐々に蓄積することで、分析の精度や分析結果に基づく施策の効果も向上していく。これが「できることからやってみる」ことが重要な最大の理由と言える。

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北崎 茂
[PwCコンサルティング合同会社]

PwCコンサルティング合同会社 ディレクター。慶応義塾大学理工学部卒業。外資系IT会社を経て現職。人事コンサルティング領域に関して15年以上の経験を持つ。組織設計、中期人事戦略策定、人事制度設計から人事システム構築まで、組織/人事領域に関して広範なプロジェクト経験を有する。ピープルアナリティクスの領域においては、国内の第一人者として日系から外資系にいたるまで様々なプロジェクト導入・セミナー講演・寄稿を含め、国内でも有数の実績を誇る。現在は、人事部門構造改革(HR Transformation)、人事情報分析サービス(People Analytics)におけるPwCアジア地域の日本責任者に従事している。HRテクノロジーコンソーシアム(LeBAC)理事。

ビッグデータで人事が変わる!

世間でも注目を集める「データアナリティクス」や「ビッグデータ」という概念が、人事の仕事のあり方を変えつつある。――多くの企業が顧客の志向性分析や、営業マンの行動分析、マーケティングの費用対効果分析、さらには不正防止予測など、営業・マーケティング・リスクマネジメントなど事業を取り巻くさまざまな領域での活用を急激に進めているが、実は、こうした動きは人事の領域においても例外ではない。

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