シニア世代と主婦の需要をすくい取る
居酒屋で宴会といえば、夜に開くのが定番だろう。しかし、最近では「昼宴会」「ランチ宴会」と称し、昼間用の宴会プランを用意する居酒屋が増えている。首都圏を中心に15店を展開する「えん」では、割安な宴会コースや昼限定の特別メニューを提供。今年1月の昼間の宴会客数は前年比110~120%と増え、銀座店にいたってはおよそ3倍も伸びた。
同窓会を開くリタイアしたシニア世代や、ママ会で集まる子育て世代の主婦がメインの客層だ。シニア層は平日の昼間の時間を持て余したり、余裕があったりするため、宴会も昼の方が好都合。主婦は夜の外出は難しいが、子どもが学校に行っている昼間なら集まりやすいのだ。
「えん」では定食など通常のランチも提供しているが、客単価は1000円程度。しかし、昼宴会では最も安いプランでも3500円となり、実入りが良いこともメリットだ。「常連客も多く、特に自由が丘店では顕著。売り上げは右肩上がりで、夜の宴会よりランチ宴会の方が伸び率は高い」と、「えん」の運営母体ビー・ワイ・オーで広報を担当する間山あづさ氏は話す。
5年以上前に他社に先駆けて「昼宴会」を始めたコロワイドが運営する「北海道」も、今年1月の昼宴会の売り上げは前年比147%と好調だ。利用客はシニア層が多いという。定食などの通常ランチより客単価は二千数百円程度上乗せされるそうだ。単純に宴会を夜から昼に“タイムシフト”するだけで、新たな需要を掘り起こした好例といえるだろう。