「一番の問題はさ。佃煮を知らない子どもが増えてきたってことだと思う。マルシェとか、イベントがあると積極的に出店してるのはそうした危機感から。東京湾の保全とかのプロジェクトにも駆り出されているけど、それも海のことをもっと知ってほしいから。消費者と直接向き合うと見えてくるのがあるし、海のことを知ってもらえばもっと佃煮も食べてもらえるっていうかさ(笑)。だから、これからもっと直販の比率を増やしていきたいんだよね」

 遠中食品の佃煮は工場直販のONLINE SHOPでも買えるが、宮島社長は5年前、日本橋に『遠中商店』という自然食品屋を開いた。そこではもちろん佃煮も購入することができる他、まじめな生産者の商品が並ぶ。

「お店もこのところやっと形になってきたなかな、という感じ。まだまだ僕は消費者の意識は変わっていくと思う。アメリカやヨーロッパではオーガニックのマーケットが伸びているのに、日本ではまだまだ、だから。時間はかかるかもしれないけれど、これからに向けて手を打っていかないと」

──佃煮はなくなりはしませんか?

「なくならないと思うよ。うちのファンもいるしさ、マルシェなどのイベントの試食で実際に食べてもらうと、いいって言ってもらえるし」

 食べ物は聞いただけではわからない。実際に食べてみるのが一番だ。百聞は一食にしかず。なるほど佃煮は日本人の心に訴える味なのだと思う。遠忠の佃煮はおいしいだけではなく、飽きない。江戸前の誇りがつくるのは本物の味だ。

〈参考〉貝類の種類と数量の変化 (株)東京久栄 柿野純

【動画】遠忠「海苔の佃煮」

(写真・映像/志賀元清)