でも残業社員はゼロにならない…
それを変えた「30分早く帰っていい」制度

 こうして残業時間は減っていきましたが、残業する社員はいなくなりませんでした。役職者のように責任感が強い人に多いのですが、きりのいいところまで仕事をしていくタイプ。このタイプは必ずと言っていいほど30分残業してから帰るので、残業ゼロにはなりませんでした。

 そんな頃、震災が起きたのです。

 震災直後すぐに私たちはサマータイムを導入しました。定時である9時~18時を、朝8時半~17時に変更したのです。本来であれば8時間労働なら17時半退社です。しかし、震災後は電力不足で夜道も暗く不安だったので、30分早く17時に帰らせていたのです。社員も震災で不安でしたから17時ぴったりに帰っていました。

 そして3ヵ月が経過し、定時である17時半退社に戻る日が来ました。しかし、そこで社員から驚きの提案があったのです。

 それは、「17時の退社を継続してほしい」というもの。

 何でも「今までの3ヵ月間で、17時ぴったりに帰るために効率良く、集中して仕事をする癖がついたから、17時のままで大丈夫」と言うのです。

 私も、取締役の日高も、その提案にはさすがにびっくりしました。30分早く帰っていいというのは、もちろん震災後の期間限定のつもりでした。私は、残業は撲滅したかったけれど、業務時間を短縮させるなんて考えたこともありません。だって、1日30分とはいえ、1ヵ月なら10時間、1年なら15日間分の給料を、働かなくても支払うことになるんです。人件費としては相当な痛手ですよね。それに、業績が下がるのも不安でした。

 しかしその反面、私も取締役の日高も、この3ヵ月月間集中して働いて17時に帰る生活は、実際のところ、とても楽しく充実していたのです。

 迷いに迷った結果、「業績が落ちたら17時半退社に戻すよ」という条件で17時退社を続けることにしたのです。ここから、17時にピタッと帰る文化が生まれたのです。

 心配していた業績ですが、残業は減ったのに、売上は上がり続けています。なんと制度を始める前の売上は22億円でしたが、始めた年度は売上が31億円と、なんと対前年140%も上がったのです。

 しかし……

 私の会社は、売上は順調、しかも17時に帰れる。経営者も社員も幸せに見えたのですが、実はお通夜のように暗い会社になってしまったのです…。

 つづく。