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ビッグデータで人事が変わる!

社員の定着度予測システムとは何か?

――先進企業の人材データ活用事例を紹介

北崎 茂 [PwCコンサルティング合同会社]
【第3回】 2015年4月14日
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 また、ハイパフォーマーとなる確率が高いが、定着可能性が低い人材(第二象限の人材)に対しては、積極的な採用を行いながらも、入社後にこまめなキャリア面談によるフォローが必要になるなどの施策が講じられる。

 このように、採用におけるデータ分析は、画一的なフォローや施策の実施ではなく、個々人の志向性などに応じたテーラーメイド型の人材マネジメントを可能にするのである。また、こうした分析は、それぞれのタイプの内定者をどの程度の割合で取るかという判断にも用いられる。

 採用した人材が全員同じようなタイプであれば、企業としてはこれほど怖いものはない。様々な事業変化に対応していくためには、様々なタイプの人材を一定の比率ずつ保有しておくこと、つまりはダイバーシティの観点が求められてきており、こうした分析は、その適正比率を判断する上でも活用することができるのである。

採用データの活用における
日系企業の課題

 では、こうした分析を実現することは容易にできるのだろうか。実際の分析にあたって最も課題となるのは、採用の場合で言えばデータ収集の部分にあるだろう。

 例えば、採用候補者レベルでは履歴書をデータ化しておらず紙の情報のみであるといったことや、候補者に関するデータの数や種類が年度や採用プロセスによってバラバラであるといったケースが日系企業には多い。

 さらには履歴書や職務経歴書に書かれるような一般的な項目はあるものの、グーグルの例の「コンピュータに関心を持ち始めた年齢」のように、候補者の志向性などを探れるようなデータを保有している企業はほとんどないだろう。

 しかしながら、採用という競争環境の激しい世界において差別化を図っていくためには、こうした情報の採取やデータ化に対して愚直に取り組むことが必要になってくるということ、さらには、その着手が企業の人材マネジメント上における新たな競争優位性につながる可能性を秘めているということを、あらためて強調しておきたい。

(参考資料)
Competing on talent analytics (Harvard Business Review)
Google Answer to Filling Jobs Is an Algorithm (The New York Times)
Managing Human Resources(Susan E. Jackson, Randall S. Schuler, Steve Werner)

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北崎 茂
[PwCコンサルティング合同会社]

PwCコンサルティング合同会社 ディレクター。慶応義塾大学理工学部卒業。外資系IT会社を経て現職。人事コンサルティング領域に関して15年以上の経験を持つ。組織設計、中期人事戦略策定、人事制度設計から人事システム構築まで、組織/人事領域に関して広範なプロジェクト経験を有する。ピープルアナリティクスの領域においては、国内の第一人者として日系から外資系にいたるまで様々なプロジェクト導入・セミナー講演・寄稿を含め、国内でも有数の実績を誇る。現在は、人事部門構造改革(HR Transformation)、人事情報分析サービス(People Analytics)におけるPwCアジア地域の日本責任者に従事している。HRテクノロジーコンソーシアム(LeBAC)理事。

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