参加者を受け身にさせる仕掛けで
「モチベーションを下げる研修」になっていないか

 (6)参加者を迷わせていけないので、席は指定席である (7)名札があらかじめ印字されていて、準備万端である――。これらのどこが問題なのだという声が聞こえてきそうだ。

 ところで、ビジネス伸展のためには、個々のパフォーマンス向上が必要で、そのためには、一人ひとりのモチベーションを高めることが不可欠であることには、賛同いただけるであろう。

 では、「この席に座ってください」と席の配置を強制される場合と、「自由に席をお選びください」と席の選択をまかされる場合と、どちらが、意欲をかきたてられるだろうか。多くの方が、「自由に席をお選びください」と言われる場合ではなかろうか。

 名札についても同じだ。どんなに立派な名札が作成されていても、それを受け取ったとたんに、人は受け身になる。研修の準備や運営をする側が何かを提供してくれる人、研修参加者はそれを受け取る人という心理的な枠組みに、知らず知らずのうちにはめ込まれてしまうからだ。

 こうした微細なことが、実は人間の心理には大きく作用する。「至れり尽くせりのおもてなし」は、社員のモチベーションを下げることにつながってしまうのだ。

 (8)おもてなしの気持ちにより、各自の席にコーヒーが配られている――。これも同様で、席に座るとコーヒーが配られるという受動的な状態を作り出すことは、モチベーション向上のために得策ではない。むしろ、飲み物を参加者自身が取りに行ったり、購入したりするなどの仕掛けを盛り込むことで、参加者の自発的行動を促し、モチベーションを高めやすくすることができる。

 私の経験上、最もモチベーション向上に役立つ仕掛けは、できるだけカラフルでバリエーションに富んだ飲み物を数種用意して、参加者に自由に選択してもらう方法だ。何を選ぼうかということで自発的な思考が、研修開始前から生まれるし、カラフルな色を見ることにより気持ちが高まる。