組織の時間でも、個人の時間でもない
「集団の時間」とは?
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外国企業と日本企業の間で合弁企業が作られることになった。外国企業から出向してきた幹部が日本企業から来た社員たちに苦言を呈した。
「どうしてそんなに私語が多いのかな。もうちょっと真面目に仕事したらどう?」
注意された日本企業の社員側にも言い分がある。
「私語といえば私語かもしれないですけど、打ち合わせでもあるんです。こういった情報交換の場で新しいアイデアが出るし、仕事の調整もできる。とても大事なんですよ!」
企業には、「組織の時間」「個人の時間」「集団の時間」という3つの時間の区分があると思う。
「組織の時間」は、会社の公式な時間のことだ。たとえば、朝礼や公式な会議、前もって時間を区切られたミーティング、教育研修などがこれにあたる。
「個人の時間」は、基本として自分一人で仕事をする時間だ。たとえば、文書作成や顧客との連絡、一人で考える時間などがこれにあたる。
「集団の時間」は、「組織の時間」と「個人の時間」の中間に位置するものだ。いわゆる、ワイワイガヤガヤと周りの人と話し合う「ワイガヤ」である。公式な会議ではないから、「集団の時間」はあるとき突然、始まる。そして、発生地点の近くにいれば巻き込まれて、半強制的に参加させられる羽目になる。その場に偉い人でもいれば、まったく関係のないテーマであっても、そう簡単にはその場から抜け出すことができない。だらだら時間が過ぎていくことも多い。
話されるテーマも雑多で、純粋な仕事の話の場合もあれば、会社の組織や個人に関する話、社内の噂話。ときどきは大きく脱線して、昨日の野球の話や芸能人のゴシップ話になることもある。「この新しいアプリは面白いよ」と、情報提供的なことが行われることもある。「私語といえば私語だけど、打ち合わせのようなもの」というのは、つまりこういうことだ。