宿泊料金設定は各社各様

 こうした需要の高まりを受けて、ビジネスホテルの宿泊料金も上昇傾向にある。典型がアパホテルで、1泊2万~3万円も珍しくない。

 アパの宿泊料金は市場連動型で、権限を持った各店の支配人が需給を見ながらドラスチックに設定している。そのため閑散期は6000~8000円程度の部屋が、繁忙期は数万円に跳ね上がる。

 同業他社からは「どうしてあんなに強気かつ緻密な料金設定ができるのか」と感嘆の声が上がる。元谷外志雄アパグループCEOによると、都心部のホテルは連日、100%近い高稼働率を維持しており、料金設定は「定価の1.8倍を超えないように」とだけ指示しているという。

 一方、アパと対極の料金戦略を貫くのがビジネスホテル最大手の東横インだ。黒田麻衣子社長は全国の支配人に対し「たとえ1万円で売れると思っても、7800円の上限を超えてはいけない」と言い聞かせている。支配人に女性を登用し「女将のおもてなし」をコンセプトに、安心感と値頃感を打ち出しており、「ひんぱんに料金を変えると、ホテルの信用に影響を及ぼす」と考えているのだ。

 業界2番手のホテルルートインも同様の方針で、「需給による料金変動は、花火大会など特別な場合を除いて、数百円程度」という。

 とはいえ、低価格戦略には課題も残る。都心部の稼働率は90%以上で頭打ちになっており、消費増税や人件費高騰分の料金転嫁が課題となっているからだ。各社各様の料金方針が吉と出るか凶と出るか見ものだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 柳澤里佳)