ビジネス版のフェイスブックの異名を持つリンクトイン。ビジネスマンの人脈構築と転職の場というイメージが強いが、モバイルを中心にビジネスメディアとして変貌しつつある。(「週刊ダイヤモンド」編集部 後藤直義)

 英誌「エコノミスト」や英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」と競合しつつある──。そう評される大手SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)がある。それが“ビジネス版のフェイスブック”と呼ばれるリンクトイン(Linkedin)だ。

「これは一読する価値があるレターじゃないかな」。3月中旬、米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は、熱のこもった調子でそう記事をつづった。著名投資家のウォーレン・バフェット氏が運営する投資会社バークシャー・ハサウェイが、50周年の節目に株主たちに送ったレターの内容が知見に溢れているとして、リンクトイン上に投稿したものだ。

 世界中で約3億4700万人がユーザー登録しているリンクトインで、ゲイツ氏は最も影響力のある“インフルエンサー”の1人であり、その投稿は約378万人いるフォロワーのパソコンやスマートフォンに配信されてゆく。

 有名な経営者たちだけではない。昨年、リンクトインは約2億3000万人いる英語圏の一般ユーザーにも同じように投稿ができるサービスを拡大。そこではさまざまなビジネスパーソンが業界トレンドやニュースについて、毎週5万件のペースで記事を更新しているのだ。

 また、2013年に買収したPulseのニュースリーダーアプリを通して、名門雑誌の「TIME」や「フォーブス」「ナショナルジオグラフィック」「ハフィントン・ポスト」など、300以上の提携メディアの記事配信も取り込み、まるで総合ビジネスメディアの様相を呈している。

「本音を言えば、旧来の大手メディアと競合するような状況になりつつある」

 3月25日に米国のニュース番組に出演した同社のペンリー・プライス副社長がそう公言したのは、メディア化の先に広告事業の拡大を狙っているからだ。ユーザーはビジネスマンが中心なだけに“媒体”としての筋はいい。