わかりやすく「天狗になった」私は
男性脳特有の非現実的な未来に逃げた
メンタリズムのパフォーマンスでテレビに出始めると、まさに寝る間もないほどの忙しさが私を襲いました。
思い起こせば、私のメンタルがボロボロになる伏線はこのあたりから始まっていたのかもしれません。
過密スケジュールに追われ、毎日がプレッシャーとの戦いでした。そして、私は逃げたのです。
逃げた、といっても実際に逃亡したわけではなく(打ち合わせをすっぽかしたり、リハーサルに行かなかったりはしましたが……)、そんな自分の弱さから逃げたのです。
どう逃げたのか。簡単です。
「今の自分は本当の自分じゃない。今自分がしていること(パフォーマンス)は本当にやりたいことではない。今いる場所(芸能界)は自分がいるべき場所じゃない。自分にはもっとやりたいことがある。自分にはもっと隠れた才能があるはずだ。ここでない何処かへいけばもっと成功するはずだ!」
と、悪いのは自分ではない、周りの環境(人たち)だと考えるようになったのでした。
本連載でたびたびご紹介している、これぞまさしく「男性脳」の特徴です。つまり、「現実を見るのではなく、未来に目を向けて非現実的な方向へ行こうとする」。自分の力を過大評価しがちなのも男性脳ならでは、と言えるでしょう。
さらに、これまた男性脳の悪いところなのですが、人間関係を競争関係だと思うようになりました。結果、人付き合いを極端に制限し(自分に得のある人としかつきあわなくなった)、わかりやすく人に横柄な態度を取るようになったのです。
その後、私は2度の引退宣言をすることになりました。