――こうした日韓の冷え込みが解消されれば、韓国経済にもある程度プラスになるのではないか。今後、日本と韓国が経済面で協力し、お互いに発展して行く絵図は描けないものでしょうか。

 日韓EPA交渉が中断されたまま再開できない状態が続く一方、韓国政府は中国とFTAの交渉を進め、昨年事実上合意しました。中身を見ると自由化の水準は低いのですが、合意に達したこと自体には意味があります。また、最近になり中国が主導して設立するAIIBへの参加を決定しています。アジア地域で中国の重要性が増しており、韓国がその点を踏まえた外交を展開しているといえます。歴史認識をめぐる問題で日韓の溝が少しでも埋まらない限り、政府レベルでの関係改善は厳しいと思います。

 こうした日韓関係の現状を憂慮しているのが、日本の経済界です。昨年末に経団連の榊原定征会長が、韓国の全国経済人連合会のトップと7年ぶりに会い、関係の緊密化を再確認するとともに、政府に対して首脳会談の早期実現を求めました。このような経済界の動きを見ると、経済関係に関しては、過度に悲観する必要はないと考えています。

 ただ、以前から韓国とのパイプを持ち続けてきた大企業はよいのですが、そういうパイプをもたない中小企業のなかには、関係の冷え込みから韓国での事業に二の足を踏むところも出ている点は注意が必要です。

 そもそも、日韓のビジネス上のつながりは、両国の国民から見えにくいのも事実です。韓国が日本から輸入するものの多くは生産財で、韓国企業が自社製品の生産に使う部品や機械を日本から多く輸入しても、韓国人の目に直接触れることはありません。また日本人にとっても、韓国からの輸入品で日頃よく目にするのは、食品やスマホなどごく一部に過ぎない。メモリや自動車部品なども多く輸入されていますが、最終製品のなかに組み込まれています。このように、両国の国民が、相互に重要なパートナーであることを認識しづらいのではないでしょうか。重要性を伝えていく取り組みが必要だと思います。

まだ経済の潜在能力はある
「最強韓国」は蘇るのか?

――「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長を遂げた韓国は、1990年代にデフォルトの危機に陥りIMFの管理下に置かれましたが、2000年代に大企業が世界市場で台頭し、一時は「最強」と呼ばれるまでになりました。韓国経済のこうした歴史の中で、現状はどのような段階にあるのでしょうか。かつてない危機なのか、それとももう一段成長するための踊り場に過ぎないのでしょうか。

 韓国は短期間で急速に成長を遂げ、今や日本と並んでアジアをリードする先進国の1つになりました。日本の後を追って発展してきた韓国が次の段階にいけるかどうか、いまその正念場を迎えていると考えています。

 若者の就職難に象徴されるように、優秀な人材が十分に活用されていません。しかし、このことは同時に潜在力があることを示しています。現在必要なことは、大企業の革新とベンチャー・中小企業の成長を推進することにより、質の高い雇用を生み出していくことです。