「トンデモ新入社員」は増えているか?
アンケート調査でわかった今年の傾向
「今度君の部署に来た新入社員のA君、どう?」「聞いてよ、今度私の部署に来たBさんたらねぇ……」
毎年春になると、ランチタイムの社員食堂や夜の居酒屋で、ビジネスパーソンたちは新入社員の「品定め」に花を咲かせる。気の毒ではあるが、新入社員の一挙手一投足は、彼らが自覚している以上に、上司や先輩たちから注目を浴びている。仕事や人間関係に疲れ切ったベテラン社員にとって、新入社員の品定めは格好の息抜きなのだ。
そんな世のビジネスパーソンのニーズを刺激するためか、新入社員が入社してから1ヵ月ほどが経つ、4月下旬からGW頃にかけて増えてくるのが、「トンデモ新入社員」に関する報道である。
「社内視察中の社長に廊下で声をかけられ、『どちら様ですか?』と返した新入社員がいた」「取引先の部長とタメ口で話す新入社員がいて、仰天した」「歓迎会で泥酔して大暴れし、救急車で運ばれた新入社員がいて、困り果てた」――。こうした新入社員のエピソードが紹介された雑誌やインターネットの記事は多い。とりわけ、ゆとり世代が社会に出始めた2008年以降、「トンデモ新入社員が急増している」と同種の報道は過熱した観がある。
しかし実際のところ、こうした「トンデモ新入社員」は世の中にどれほどいるのだろうか。面白おかしく紹介される彼らのエピソードには、どの程度信憑性があるのだろうか。雑誌やネットの記事を読みながら、疑問を持つ人も少なくないだろう。
確かに、「こういう新入社員、いそう!」と思っても、自分の会社にいる新入社員を見回すと、そこまで無茶苦茶な人たちにお目にかかることはそうそうない。統計データなどを基にした分析記事が少ないため、「トンデモ新入社員」の実態は判然としない。
そこでダイヤモンド・オンラインでは、アンケート調査会社・リビジェンの協力のもと、『今年の新入社員に関する意識調査』を実施。全国の20代~50代の会社員200人から、自社の新入社員に対する評価について、詳しい回答を得た(調査日は4月20日、回答の内訳は男性119人、女性81人)。アンケート結果を基に「トンデモ新入社員」にまつわるウソとホントを検証して行こう。
まず、アンケート対象者に【質問1】として問いかけたのが、「今年の新入社員の言動に対して、驚いたこと、困ったこと、イラっとしたことはありますか」というものだ。
この質問に対して「ある」と答えた人は全体の41%となる82人、「ない」と答えた人は同59%の118人となり、「ない」人が「ある」人を18%上回る結果となった。この数字を意外と見るか、予想通りと見るかは人それぞれだろうが、少なくとも問題のある新入社員が急増しているわけではなさそうだ。