中国が年内の設立に向けて動いているアジアインフラ投資銀行(AIIB)。こちらへの参加問題について見ていくと、多くの経済人(=大企業経営者)と経済界の御用新聞である日経新聞が大きくブレているようです。

AIIBに参加する必要はまったくなし

AIIB参加について、日経新聞は主張がブレていないだろうか?

 実際、3月ころまでは「AIIBは意思決定プロセスなどが不透明なのだから、日本は参加する必要なし」といったトーンの主張が多く見受けられました。ところが、イギリス、フランス、ドイツといったヨーロッパの主要国が参加に舵を切り、最終的に57ヵ国と予想以上に多くの国が参加を表明すると、「日本も参加しないとアジアのインフラビジネスに乗り遅れる」、「アジア開発銀行とAIIBが協調してアジアの経済発展につながるプロジェクトを推進できるよう、日本もAIIBに参加すべき」、「アジア市場の将来性を見据えた外交戦略を考えるべき」と、それまでとは正反対の主張に変わっています。

 しかし、現実には、既に多くの識者がネット上で主張しているように、現段階で日本がAIIBに焦って参加する必要性はまったくありません。

 というのは、日米が参加しなければ、AIIBの格付けは確実に低くなるからです。AIIBへの中国の出資比率が最大になる(50%とも3分の1とも言われていますが)のが確実な中で、中国自体の金融市場における格付けが高くないことを考えると当然ですが、国際機関としては非常に低いAマイナスになるのではという噂もあります。

 そうなった場合、AIIBが金融市場から資金を調達するときの金利はアジア開銀より1%高くなるのではないかと言われています。また、そもそもAIIBは投資不適格と判断せざるを得ないのではという声もあります。

 こうした金融市場での現実を考えると、日本が自ら焦って中国にAIIB参加を働きかける必要などまったくないと言えます。