関ヶ原の敗走を思わせる
米国陣営の総崩れ
3月12日、英国は、中国主導で設立する国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加することを表明した。米国が同盟国として最も信頼する英国が、経済的な実利を狙ってAIIBに加わる意味は大きい。
それをきっかけに、ドイツ、フランス、イタリアなどが雪崩を打ってAIIB陣営に加わることになった。これによって、中国の政治・経済的なプレゼンスは一段と高まる。今までの米国一極体制が脆くも崩れ始めているようだ。
2013年、中国は、世界の金融市場における米国の牙城を崩すべくAIIB設立を表明した。それに対して米国は、主要同盟国に対し中国の計画に賛同しないよう呼びかけた。その呼びかけは奏功し、つい最近まで主要同盟国は米国の主張を受け入れるとみられてきた。
ところが、中国経済の成長は予想以上のペースで進み、世界経済の中で同国の実力は大きく躍進した。欧米諸国の中にも、積極的に中国からの投資を誘致したり、13億人を抱える中国市場に積極的に参入したりする動きが目立ち始めている。
そうした中国にすり寄るスタンスが決定的になったのが、今回の英国のAIIB参加表明だった。米国は、英国の行動に強い不快感を示し明確に批判した。
英国の実利を追求する行動は、米国サイドから見ると、あたかも関ヶ原の戦いで西軍の小早川秀秋が徳川方に寝返ったことのように感じるかもしれない。主要同盟国が先を争って中国陣営に走り、AIIB創設に関して米国陣営は一気に総崩れの様相となった。関ヶ原の戦いで西軍が敗走する姿に似ている。