リンクトインが、オンライン教育サイトのリンダ・ドットコムを買収する。買収額は、15億ドル。リンクトインの企業買収額としては最高だ。
周知の通り、リンクトインはプロフェッショナルに特化したソーシャルネットワーク・サイトである。自分のこれまでの職歴をこと細やかにアップし、仕事で知り合った人々とつながって、ビジネスパーソンとしてのネットワークを構築するのに使われる。
また、仕事上で何か知識が必要になった、あるいは誰かに専門的な意見を聞きたいといった場合に、知り合いの知り合いを紹介してもらったり、本人に直接連絡をとったりすることができる。つながりを自分の仕事のために利用しやすくするためのしくみが、リンクトインと言える。
それ以上に、リンクトインは転職のためのサイトとしても役立ってきた。人材を求める企業はリンクトイン上でそのスキルに合った人を捜すことができる。企業やリクルーターは有料でリンクトインを使って人材検索ができるようになっており、これはリンクトインの売上の大部分を占めているほどだ。
フェイスブックなど、友人や知人とやりとりするソーシャルネットワークとリンクトインの大きな違いは、そうした巨大な求人市場に手をつけているところだ。
リンダ・ドットコムは
老舗の教育サイト
さて、そのリンクトインが近頃は「エドテック(Ed Tech)」と呼ばれるオンライン教育に踏み出す理由は何か。
ここで、リンダ・ドットコムを簡単に紹介しておくと、同サイトはエドテックという言葉が生まれるもっと前から存在しているサイトだ。創業は1995年。何とグーグルやフェイスブックが生まれるもっと前である。
創業者のリンダ・ワインマンが最初に行ったのは、自分が知っているウェブデザインのスキルを無料で公開することだった。ほぼ独学でウェブ・デザインを学んだワインマンは専門外の人々にも開かれたハウツー本を執筆。これがヒットになった。
その後、ウェブサイトで呼びかけてワークショップを開いたところ、1週間のワークショップに海外からも参加者が訪れ、インターネットの威力と新しいものを学びたいという人々の意欲の強さに驚かされた。
その後は、非常にオーガニックに教育サイトを育て上げてきた。ウェブデザインを中心にクリエイティブなスキルを磨くためのコースを揃え、今では写真、ビジネス、教育、アニメーション、音楽などさまざまなコンテンツの開発ができるスキルが学べるようになっている。
ドットコムバブルの崩壊などで一時は窮地に陥ったリンダ・ドットコムは、その後しっかりと復活し、今では老舗的なエドテックのサイトとして知られている。
さて、そんなリンダ・ドットコムを買収したリンクトインは、どう2つのサイトの相乗効果を狙っているのだろうか。