「シングルマザーは努力不足」?
当事者代表であるはずの人物からの発言も

 なぜ、せっかくの制度の数々が、「役に立っている」と評価するわけにいかない状況になっているのだろうか?

「シングルマザー当事者の声が弱いんです」(赤石さん)

 私からは、赤石さんも「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」も、充分に力と実績のある当事者・当事者団体に見える。しかし現在、社保審・児童部会「ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会」の専門委員には、「現在のシングルマザー当事者を代表する」と言えるメンバーは含まれていない。全国母子寡婦福祉団体協議会理事・海野恵美子氏が、唯一の「シングルマザー当事者」代表らしき存在だ。ところが当事者代表の立場であるはずの海野氏は、委員会の場でこのような発言をしている。

「今の方たちは自分で自立という考えも弱いし、意欲も弱いと思います。そういうところを、今は子どもさえ産めばいろいろな保護があり過ぎだと思います。甘えれば済むような時代にしてしまった。だから、自立もできなくなってしまったというのが現状だと思います」(「第4回児童部会ひとり親家庭への支援施策の在り方に関する専門委員会 議事録」より)

 現在のシングルマザーは、努力不足。自己責任を強化すれば、自立できる。そういう論調だ。シングルマザーの8割以上は就労しているというのに?

 赤石さんも、この専門委員会に「参加人」として参加している。委員が認めれば発言もできる立場である。

 赤石さんによれば、児童扶養手当の削減も、総合的に見れば機能不全と言わざるをえない就労支援についても、これまでの母子家庭施策は、すべて全国母子寡婦福祉団体協議会の賛成を得て進められてきた。しかし、「現在の当事者」と言える人々を正式メンバーとしない議論から、現在の当事者に対して有効な施策が生まれることは期待できるだろうか? 「原理的に不可能」というべきではないだろうか? と私は思う。

 次回は、大阪市で路上生活者に対する数多くの直接支援活動を展開する「ホームドア」と、代表・川口加奈氏の現在を紹介する。3月、「Googleインパクトチャレンジ」でグランプリに輝いた「ホームドア」は、次の一歩をどのように展開するのだろうか?