厚生年金や企業年金、被保険者区分け、国民年金基金……。年金制度は非常に複雑な構造をしています。今回ご紹介する『年金ロックンローラー内沢裕吉――マンガでわかる「年金・投資・お金」のすべて!』を読めば、仕組みはもちろん年金の歴史や保険、経済史にも詳しくなれます。
ホイチョイ・プロダクションのマンガで
年金制度をわかりやすく解説
年金はややこしい制度です。現在、厚生年金(公務員は共済年金)の受給開始年齢が60歳から65歳まで引き上げられつつあるわけですが、経過期間中は性別と生まれた年によって受給開始年齢が違います。
男性の場合、昭和36(1961)年4月1日生まれまで段階的に引き上げが続きます。昭和36年4月2日生まれ以降は完全に65歳になるわけです。それまでは経過期間ということです。生まれ年によって違いますので、これは読者自身が調べてください。
そもそも、年金の構造からしてよくわからないという人が多いことでしょう。該当年齢に近くなるまで関心があまりないからです。サラリーマンは天引きなので、若いほど興味がないようです。
しかし、少子高齢化によって年金を徴収される現役世代の比率が減少し、受給者の引退世代が激増することはだれでも知っていますよね。そのために受給開始年齢が引き上げられたわけですから。
年金制度をよく知っておくことは、じつは若いほど必要なのです。安心して働くことができないと、生活の将来像を描くことができません。
本書はホイチョイ・プロダクションズが月刊『ZAi』に連載しているコミックをまとめたもので、年金制度を理解するための最適な参考書となっています。某有名高齢ミュージシャンを彷彿とさせる主人公・内沢裕吉と彼の女子マネージャー、そして彼の別れた2人の妻の娘と息子による時間旅行の物語です。
ホイチョイ・プロダクションズ制作のコミックで物語を執筆している馬場康夫さんは、連載を書籍化するにあたって大幅に加筆しています。連載時点でも緻密に取材し、専門書を踏破して年金の仕組みをかみ砕いていますが、書籍ではさらに細密画のように構成しています。
ストーリー漫画でありながら、ほとんど書籍1冊分の文字も組み込まれていますが、コミックを読み慣れている世代ならば楽に読めるでしょう。ちなみに、コミック世代は年金受給年齢に達しています。