「完全予約制のライザップは、大手ジムのように駅前一等地で集客しなくてもいいため、立地にこだわる必要がなく、家賃の大幅引き下げに成功した」。実際、原宿のライザップ神宮前店は、最寄り駅から徒歩で10分以上離れ、大通りから一本入った目立たない雑居ビルの地下に入居している。

 同社資料によれば、一般的なフィットネスジムの場合、地代家賃は売上高の20%に達するが、ライザップは4%にすぎないという。

 しかも、「マンツーマンの筋トレが基本のライザップのジムにはプールも最新式の設備も要らないため、安上がり」と浅川氏。確かに、ライザップのトレーニング室に設置されているのは、ベンチプレスやバランスボールのような基本的な器具ばかりだ。それ故、売上高対比の水道光熱費の割合が、一般的なスポーツクラブの場合は10%を占めるのに対して、ライザップはわずかに1%。設備維持費も一般的なスポーツクラブが5~8%のところ、ライザップは1%と、大幅に抑制できるのだ。

 このように原価を抑えることで、高い粗利益率を実現。これを原資とした巨額の資金が宣伝広告活動へと大量投入され、あのCMがお茶の間に届くというわけだ。その結果、知名度と会員数はさらにうなぎ上り。それがさらなる業績の向上につながる好循環を生んでいる。

競合ジム台頭の対抗策でカギを握る
会員3万人のビッグデータ活用

 ただ、この流れがいつまでも続くとは限らない。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングのチーフコンサルタント、高橋千枝子氏は、「ダイエット市場はブームの移り変わりが激しい。しかも国内は人口が減少し、市場自体も細分化しており、いずれライザップも伸び悩む」と警告する。さらにその上で、「それまでに、次の収益源を育てる下準備をする必要がある」とも指摘する。

 その意味で注目されるのが、ライザップの会員の世代別割合だ。他のジムは60歳以上会員数が20%台後半~30%台後半に達しているのに対して、ライザップのそれはまだ3.4%にすぎず、まだまだ開拓余地が残っているのだ。

 布石も打っている。医療分野への進出だ。健康コーポレーションは、人間ドック機能のある大学病院などから提携の提案を複数受けているとされ、年内にも複数の医療機関と提携していく方針で、シニア層の取り込みに本腰を入れる。

 逆に、今後のボトルネックとして挙げられるのが、参入障壁の低さによる競合ジムの台頭だろう。