裁判の証拠になる「社内資料」に
細心の注意を払う
クラスアクションの訴訟で、重要な役割を果たすのが「社内資料」です。
企業はつねに大量の資料やデータを作成し、管理しています。製品メーカーなどでは、生産プロセスにおける調査結果などの資料だけでも膨大な量におよびます。
そして、これらの資料やメールなど社内のやり取りは、訴訟の際、すべて証拠となる可能性があります。万一、欠陥問題がきっかけで訴訟が提起されれば、企業は証拠開示手続きに従い、社内資料をすべて開示することになります。資料の提出を怠ったり破棄したりすると罰則を科されるケースもあります。
そのため、「社内資料」を適切に管理しておかないと、思わぬ事態を招きかねないのです。
私自身、このようなケースを経験したことがあります。
ある企業が提出した証拠の中に、自社製品をランク付けしたかのように見える記述があったのです。企業にとって、ニーズに合わせて製品の性能や価格に幅をつけることはごく一般的ですが、製品に格差があるかのような記述は、一部の製品がほかのものに比べて粗悪であるという印象を与えかねません。あえて、そのような訴訟において不利になる証拠をつくるべきではないのです。
このように、社内での通常業務をどういったかたちで記録に残すかはとても重要です。いざ、クラスアクションを提起されたら、それらの資料は証拠として提出することを念頭において、適切に資料を作成し、管理する体制を構築しなければならないのです。