日本本社の経営陣が、先頭に立って対処する
また、アメリカで欠陥製品が見つかったからといって、子会社だけに対応を任せるのも間違った対応です。あくまで、本社は日本企業なのですから、最初の段階から本社が先頭に立ち、責任を持って対応する必要があります。
とにかく、問題が発生したら、すぐさま社内で調査組織を立ち上げることです。ここで重要なのは、現場からは独立した第三者的な組織にすることです。
日本メーカーの製造現場にいる方々は、誠意をもってモノづくりに携わり、優れた製品を世界に送り出しています。だからこそ、欠陥製品が見つかると、製造現場にいる社員たちは、「そんなはずはない」と思うかもしれません。しかし、往々にして、これが調査にバイアスをかけてしまいがちです。それを避けるためにも、現場からは独立した調査組織にすべきです。
そして、調査組織には権限を与え、集めた情報は経営陣にすぐに届くようにしてください。そこに外部の弁護士も加われば、いっそう徹底した調査を行うことができるでしょう。このような、独立性・客観性をもった調査組織を立ち上げたことをアナウンスするだけでも、ユーザーは安心感をもってくれるはずです。
最悪なのは、アメリカで販売している製品に欠陥が見つかったときに、「わが社の製品にかぎって欠陥があるはずがない」と利用者の使い方のせいにし、対応をアメリカの子会社任せにしてしまうこと。そして、現場の責任者に「どうなっているんだ」と詰め寄るばかりで詳しい調査を始めない。そうしている間に、不満を募らせるユーザーは増え、社会の目が厳しくなるのはもちろん、一部の弁護士がクラスアクションの準備を着々と進めるのです……。
これだけは、避けなければなりません。
だから、まずは経営陣が当事者意識を持って、具体的な対策を実行するとともに、問題が拡大しないよう利用者になるべく早く情報を公開することです。そして、当局や取引先など関連企業とも協力しながら、問題解決に向けて迅速に対応することが大切です。
ここで、適切な対応がとれれば、後に社会からの信頼を勝ち得ることもあります。
消費者は、製品づくり同様に、このような不測の事態への対応についても企業の姿勢に注目しています。製品の品質に強い自信を持っている企業ならなおさら、欠陥問題への対応によって真価を問われるのだということを忘れてはいけません。問題が起きた時こそ、逆に、企業のイメージをアップするチャンスなのです。