前回は、販売代理店は「売る製品の所有権を持つか、否か」で大別できるとお話しました。それでは、自社の製品や体制に合わせて、ディストリビューターとセールスレップのいずれを選べばよいのか、それぞれの特性をさらにひもときながら選択ポイントをお教えします。

 例えばディストリビューターが「製品を買って、自分の在庫として持つ」ということは、製品を買うだけの資金力があり、かつ在庫を持つだけの倉庫ももっているということになります。つまりディストリビューターは比較的大きな会社が多く、一般に20〜30名の規模以上です。

 それに対して、セールスレップは2〜5名規模の小規模な会社が多いですし、1人だけの個人という可能性も十分あります。自分が製品を買うわけではないので資金力はいりませんし、製品を置いておく必要もないので自宅でもできるわけです。

 では、セールスレップは何を売っているのかというと、人脈(コネ)と専門知識です。例えば、新型の医療用内視鏡を見たとき、「この内視鏡であれば、X病院のA先生であれば興味を示すはずだ」とか「Y大学医学部のB実験室であれば、来年の予算で買ってくれそうだな」など業界の内情に精通しており、その場で電話をかけてアポイントを取れるのが優秀なセールスレップと言えます。

 つまり、会社規模が比較的大きくて自分で製品を買って在庫としてもてるのがディストリビューター、自分で商品を買うわけではないが人脈と専門知識をウリに販売先を探す少人数・小規模の会社がセールスレップということになります。

取扱製品はどう違う?

 また、取扱い製品もセールスレップとディストリビューターで異なります。ディストリビューターが「製品を買って自分の在庫としてもつ」ということは、その製品が標準品であることを示しています。標準品だからこそ、大量に購入して保管しておいて、X社がきてもY社がきてもZ社がきても同じように売れるのです。

 ところが、特注品の要素がある製品は、エンドユーザーとの折衝が必要です。特注品をあらかじめ在庫として抱えることは不可能ですから、セールスレップのほうが得意ということになります。

 こうした製品の特性によって、ディストリビューターが得意なもの、セールスレップが得意なもの、どちらでも大丈夫なもの、があるのです。大雑把にいえば、標準品はディストリビューター、特注品はセールスレップに向いている、といえるでしょう。