今までとは全く違う世界に踏み込む
自衛隊の活動が質的に違ってくる

 これは今までとは全く違う世界に踏み込んだことになると思うんですね。だから、私は言わば自衛隊法95条の改正によって、シームレスに米中の紛争に自衛隊が入っていく、そういう法制だと思います。

 キーワードは「平時からの武器等防護」と「海洋安全保障」で、その意味するところは中国海軍の牽制ということになる。それがいわばグレーゾーン(※4)の話ですね。グレーゾーンから有事まで一貫して使えるのが、自衛隊法95条の話なのです。

――99年にできた周辺事態法の改正法案が、重要影響事態法案です。周辺事態法では「我が国周辺における」という限定が付いていましたが、重要影響事態法案ではこの限定が外されています。

 ガイドラインでも、重要影響事態は「地理的に定めることはできない」として、「周辺」という限定をやめてしまいました。しかし、法案にも重要影響事態とは「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至る恐れのある事態」という例示がある。

 実際に日本から遠いところで起こったことが、どのようにして重要影響事態に至るのか、その判断基準が分からないんですね。ということは、逆に政府が重要影響事態と認定すれば――もちろん自衛隊は、とりあえずは後方支援ですが――いつでも米軍と一緒に作戦ができるということです。

 実はこれはとてもややこしいのですが、安倍総理がおっしゃるペルシャ湾のホルムズ海峡の機雷は、存立危機事態ではなくても重要影響事態にはなり得る。ホルムズ海峡の機雷が重要影響事態であれば、南シナ海のシーレーンの武力衝突も重要影響事態になる。かなり幅広いものになるということですね。

 そこで自衛隊はいつもアメリカ軍と一緒にいて、かつ、後方支援と言っても新しい自衛隊法95条の武器等防護によって、いつでも参戦できる体制で出て行くわけです。だからこれまでとは、質的にオペレーションが違ってくると思います。

(※4)自衛隊に防衛出動が命じられる有事とまではいかないが、治安維持を担う海上保安庁や警察では対処できないような状況のこと。