オリンピック選手は
企業にとって宣伝広告塔かCSRか

 オリンピックを見ていると、選手はさまざまな企業に所属していることが分かる。男子スピードスケートでメダルを取った長島圭一郎選手、加藤条治選手は男子スケート選手ともに日本電産サンキョーに属し、女子スピードスケートで入賞をした小平奈緒選手は相沢病院の所属。フィギュアスケートの安藤美姫選手のようにトヨタという誰もが知っている企業に属している選手もいるが、それほど知名度が高いわけではない企業が結構多くオリンピック選手を雇用していることが分かる。

 メダルを獲得した選手はメディアから引っ張りだことなり、所属する企業名も広く知れ渡ることになる。宣伝広告としての効果は大きいだろう。

 ただ、日本人選手100名強が出場する舞台において、メダルを獲得できる選手は一握りである。あるいは、そのもっと前の段階で、オリンピックを目指していたものの出場できなかった選手も含めると、メダルを獲得して企業の宣伝広告の役割を果たしうる選手というのは、それこそフィギュアの選手などごく限られたものである。企業にとって、オリンピックを目指す選手を抱えることの投資効果(ROI)を考えると、ほとんどの場合は見合わないと思われる。

 しかし、オリンピックは、メダルを獲得する選手だけが感動を与えてくれるわけではない。ジャンプ陣では30代後半の選手がいるし、スケルトンの選手は45歳である。彼らはメダルを獲得していないが、彼らを見て「よし俺も頑張ろう」と思った日本人中年男性は私を含め多いと思う。

 その他、毎日放送されるオリンピック特集を見ていると、さまざまな競技で。「あ、こんなところにも」と思う選手の頑張りが伝えられ、日々感動をいただいている。感動を与えてくれるのは選手たちだが、その裏で選手の活動を支える所属企業の貢献は非常に大きい。まさに社会貢献、CSRである。

CSRは企業収益や株式投資に
効果があるか?

 企業はCSRに取り組むべきというのは、長年言われていることである。企業は公器であり、利益の一部を社会に還元すべきという発想は、誰にも受け入れられやすい。株式投資の世界でも、CSRに積極的な企業に投資をするSRI(Social Responsibility Investment)なるものが存在する。