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データ分析を業務プロセスに組み込む
――意思決定の自動化が適合する領域とは

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第43回】 2015年6月5日
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 一方、業務の反復性とビジネスルールの普遍性を高めるためには、コアプロセスを選別し、業務の標準化および定型化を進めることが有効となる。また、同時にコアプロセス以外の例外プロセスを特定することができれば、それをあらかじめ別ルートに回すことができる。現場の担当者が例外だらけの非定形的な業務だと思っているプロセスであっても、俯瞰的な視点で分析すればビジネスルールを規定できるというケースは珍しくない。

IT部門の主導性が問われる

 実際のところ、意思決定の自動化は業務担当者やビジネス部門の上級管理者から要求されることは稀なことである。業務の責任者は、自分が判断を下すことを1つの権限と考えていたり、コンピュータに判断を委ねることを自分の仕事を奪われることと認識したりすることがあるためである。

 また、長年遂行してきた従来の業務プロセスが正しいと思い込んでおり、意思決定の自動化を進めるためにわざわざ業務プロセスを見直したり、変更したりすることを嫌うこともある。一方で、「この帳票は何のために使うのか」といった質問に的確に答えられないというケースも珍しくない。従来からの業務の慣習を打ち破らなければ意思決定の自動化が進まず、いつまでも属人的な意思決定が横行することとなる。

 したがって、IT部門が主導することで、意思決定の自動化という観点から業務プロセスを見直すことを推奨したい。分析を自動化して業務に組み込めばコンピュータに委ねることができるはずの業務があちこちにあるはずだ。このような業務に人件費の高い上級管理職がわざわざ時間を費やしているという無駄を見逃してはならない。

 業務担当者や管理者が、どのような情報を基に意思決定しているのか、その際の判断基準は何か、その基準通りに決定を下さない例外はどの程度あるのかをヒアリングなどによって見極めていくことで、自動化可能なプロセスが浮かび上がってくるはずである。こうしたビジネスプロセス変革やイノベーションの創出にかかわる活動こそが、これからのIT部門のコア業務の1つとなるであろう。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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