最新のテクノロジーを利用したビッグデータの分析は企業のマーケティングだけでなく、犯罪対策や治安維持などにも使われるようになってきた。ビジネス・アナリティクスのリーディング企業であるSAS Institute(以下・SAS)も、不正・犯罪対策やリスク管理の分野に対して総合的なソリューションを提供している。この分野の責任者であるイマム・ホーク氏に、警察や国境警備など国家・公的機関におけるアナリティクス活用の最新テクノロジーと捜査事例を聞いた。(取材・文/平 行男、ダイヤモンド・オンラインIT&ビジネス 指田昌夫)

捜査メモやEメールを分析して
過去の犯罪との関連を探す

SAS Institute Ltd. (UK) 欧州・アジア太平洋地域フロード&セキュリティ・ソリューションズ マネージング・ディレクター イマム・ホーク (Imam Hoque)氏

 ビッグデータの分析はもはや企業だけのテーマではない。「今や欧州やアメリカを筆頭に世界各国の国家・公安機関が、犯罪対策や治安維持にアナリティクス技術を導入している」とホーク氏は語る。具体的に使われているのはテキスト分析やソーシャルメディア分析だ。

 たとえば警察の犯罪捜査では、犯行現場の報告書、警察官や目撃者の供述といった、「非構造データ(テキストデータ)」が重要な役割を果たす。そこには所定のフォーマットに記録されただけの構造データにはない、微妙なニュアンスが含まれているからだ。しかしデータ量は日々増大しており、管理や活用することは決して簡単ではない。そこで、非構造データを管理し分析する手法が必要となる。それがテキスト分析だ。

 テキスト分析では、膨大な捜査情報を検索し、データの誤りや重複、意図的な虚偽情報などを排除しつつ、主語・動詞・目的語などの文法や文脈を正しく解釈する。SASのソリューションではそれらの情報を「リンク図」として表示し、データ同士の関係を視覚的に表現する。

 この手法を活用すれば、たとえば膨大な捜査情報に潜む関連性を発見するのに効果を発揮する。

 ある事件の捜査情報を分析したところ、犯罪者の顕著な特徴が明らかになり、似たような発言や内容が過去の情報のなかから検出された。リンクされた情報を辿ると、犯行の内容や場所、日時などに複数の関連性を発見。その結果、同一犯による犯行の疑いが浮かび上がってきた。このような膨大な量のデータからの分析は、人の力だけでは到底不可能である。