ソーシャル・プラットフォームの中心である社内SNSを前に進めるには、FUD(Fear=恐れ、Uncertainty=不確実性、Doubt=疑い)とも呼ばれる新しいものに抵抗する心理と闘わねばならない。だから、スカンク・ワーク的に隠れてやってもコミュニケーションは活性化しない。だが、単なる上からの押し付けでは空転する。つまり、容易ならざる代物と考えたほうがよい。
本コラムの第13~17回でBT、IBM、ベストバイの海外3社のソーシャル・プラットフォームへの取り組みについて議論した。そして、第4および第8回~第20回で日本のNTTデータ、損保ジャパン、日立グループの社内SNSについて取り上げた。方法論も未確立で、失敗も少なくないと言われる社内SNSだが、これらベスト・プラクティスから成功のセオリーについて考えてみたい。
社内に反対派は必ずいる
だましだましは通じない
近年ますます注目される社内SNSだが、参加・利用も発言・内容も自由だ。したがって、ユーザーの自発性への依存度が高く、コントロールが難しい。そして、自由に使える場を提供するという性格上、目的、実装、運営が多様である。
また、社内SNSを活用しコミュニケーションするユーザー層が鍵となり、そうした積極派の獲得とカルチャーづくりがポイントとなる。
こうしたチャレンジに対して、導入にあたり自社で戦略を策定し、よい方向にSNSがまわっていく体制やカルチャーをつくらねば、混乱を招いたり低空飛行のままということになる。
現実に、社内にいくつもソーシャル・プラットフォームがつくられ、どれも盛り上がらず混乱をもたらしている例もある。また、一部門が低予算で独自に作った社内SNSを社のものとして離陸させられずにとどまっている例もある。ベスト・バイも当初は社員の100ドルの投資から始まったが、マーケティングの活動として承認をとり、社内スポンサーをつけて全社展開したのであり、部分的には似ていても、これらとは異なるものだ。