元ホームレスという経歴に興味を持ち、私の本を買い、講演を聴きに来る人たちはたくさんいる。だが、彼らのほとんどは、他の成功本やハウツー本を読んだり、別の成功者の講演も聴いているのだろう。

 実際に行動に移さず、その時間を楽しんだだけで、あたかも自分が向上したかのような錯覚を起こしているだけだ。本当に一歩踏み出そうとしている人間は、本や講演など必要ない。自分の人生は自分の力で変えるしかない。

 また、若者のなかには確かに生きる意欲のない者、覇気がない連中もいる。だが、私がどんな言葉をかけようと、そういう連中はどうにも変えられない。これはひとえに親が悪い。昔から、「子は親の背中を見て育つ」という。学校ではなく、家庭での教育がなにより重要なのだ。

 繰り返すが、格差はあっても構わない。ただ、持てる者は持たざる者に、富を分配するという意識を持つべきだ。実際、米国では高所得者は当然のように寄付活動をする。

 たとえば、ホリエモンは儲けたカネの使い方が悪かった。当時、北海道の夕張市が財政破綻をして話題になっていた。もし彼が夕張市に何億円かでも寄付していれば、ヒーローになれたはず。実刑になることもなかったかもしれない。

 もっとも、日本は不思議な国で、金持ちは嫉妬され、仮に寄付をしても「なにか悪いことをして稼いだんじゃないか」「偽善・売名だ」などと揶揄されることすらある。金持ちが尊敬されていないのだ。

 私は現在、多額の税を払っているが、税務署では高額納税者も生活保護受給者も、同じように順番待ちをさせられる。民間なら「よいお客様」は優遇されるのが常識だ。

 なにもちやほやしてもらいたいというわけではないが、どんなに多額の税を納めても尊敬されないのでは、脱税したくなる人が出てくるのも無理はなかろう。

 金持ちが尊敬され、築いた富をどう使うかで評価が決まる世の中になれば、経済弱者の救済の道筋も開けるだろう。

(聞き手:『週刊ダイヤモンド』編集部 柳澤里佳)