アイデア社長の案でも
あくまで「仮説」
これまでの連載で「企業の方向づけ」が大切だということを説明し、先にスカイマークの事例で、「方向づけ(何をやるか、やめるか)」の判断の誤りが会社を破たんさせた事例を説明しました。シャープや大塚家具の事例でも、方向づけが大切なことが分かりますね。
もちろん、100%完全な判断はできませんが、大切なことは、方向づけの判断は、あくまでも「仮説」だということです。それは「結論」ではありません。
そのためには「独断」を避ける、つまり、松下幸之助さんのおっしゃる「衆知を集める」ことが大切です。
経営者の中には、「自分が言ったことは絶対だ」と考える人もいます。しかし、それも全て仮説です。スカイマークなどの事例を考えてもらえば、良くお分かりのことと思います。
私が好きな経営コンサルタントで、15年ほど前に80歳で亡くなられた一倉定先生の名言の一つに、「アイデア社長が会社を潰す」というのがあります。
社長であれば色々とアイデアを思いつきますし、アイデアを持つこと自体は悪いことではありません。ただし、それをあくまでも「仮説」だと思えなかったらダメだということです。
社長である自分のアイデアは「絶対」だ、と思ってしまう経営者が少なからずいるものですが、そもそもこの世の中、アイデアが100%当たることなどあり得ません。まずは、どんなアイデアも「仮説」の一つだと考えることが大切です。
成功する確率の高いアイデアを出せれば出せるに越したことはないけれど、それでも、あくまで「仮説」ですから、それを検証することが必要なのです。
社長が言ったことは、部下は「ダメだ」と思っても聞かざるを得ないのです。少なくとも聞いているふりはしないといけないのです。そのアイデアが部下を振り回すことになりかねないのです。