「あれも大事、これも大事」と悩むのではなく、「何が本質なのか?」を考え抜く。そして、本当に大切な1%に100%集中する。シンプルに考えなければ、何も成し遂げることはできない――。LINE(株)CEO退任後、ゼロから新事業「C CHANNEL」を立ち上げた森川亮氏は、何を考え、何をしてきたのか?本連載では、待望の初著作『シンプルに考える』(ダイヤモンド社)から、森川氏の仕事術のエッセンスをご紹介します。

結果を出し続ける「すごい人」が、恐れているものとは?

  空気を読まない──。
 これは、LINE㈱で結果を出し続けている「すごい人」たちの共通点です。

 上司が目指している方向性が間違っていると思えば、臆することなく自分の意見を述べる。エンジニアがデザイナーの仕事に「ダメ出し」をすることもあれば、デザイナーがエンジニアに「ダメ出し」をすることもある。ときには、周囲の反対を押し切ってでも、自分が信じるプロダクトをつくり上げてしまう。自分が「違う」と思えば、空気を読まずに突き進むところがあるのです。

 サッカーにたとえれば、野性的なフォワードのような存在です。
 ゴールへのイメージが明確に見えたら、自分でドリブルをしてシュートを打ちにいく。逆サイドでキャプテンが「パスを回せ」とサインを送ってもお構いなし。自分の頭でゲームの全体状況を把握して、「これがベスト」だと確信する方法でゴールを狙うのです。

 だから、誤解を恐れずに言えば、「すごい人」には、大企業にうまく馴染めなかった人が多いように思います。

 大企業で、上司のサインを無視して、自分の判断でシュートを放てばどうなるでしょうか? ゴールを外したときはもちろんのこと、たとえゴールを決めても批判されます。「あいつは自分勝手だ」「あいつは使いづらい」……。周囲の人たちもその空気を敏感に察知して、彼らを遠巻きにし始めます。 

 それでも、彼らはプレーの仕方を変えようとはしません。
 なぜなら、恐れているからです。
 何を恐れているか?