日本と中国の1人当たりGDPの差が急速に縮小しつつある。そうなるのは、日本と中国の産業構造が基本的に同一のものであるからだ。「日本の中国化」を回避するには、産業構造を変えるしかない。
1人当たりGDPは10倍から3倍に
縮まる日本と中国の格差
図表1には、日本、アメリカ、中国について、1人当たりGDPの推移を示してある。日本の値は、2012年頃まではアメリカに近かったが、いまやアメリカと中国の中間だ。20年までの予測はIMFによるものだが、それによれば、この傾向は将来も続く。
図表2には、1人当たりGDPの日本と中国の比率を示した。10年には中国の1人当たりGDPは日本のそれのほぼ10分の1だったが、15年ではほぼ4分の1になった。そして、20年には3分の1になると予測される。
このように、日本の1人当たりGDPは中国にさや寄せされている。日本と中国の間で長期的な平準化過程が進んでいることが分かる。。
日中間に10倍以上の差があった10年頃までといまとでは、中国に対する見方を質的に転換しなければならない。しかし、多くの日本人は、10倍以上の差があった時代の見方から脱却できていない。