このところ、アメリカ経済の強さが際立っている。
為替レートでは、ドル高が続いている。この1年間で、ドルは、円に対してもユーロに対しても、大きく増価した。こうなったのは、日本とユーロで金融緩和政策がとられる一方で、アメリカが金融緩和政策の時代から脱却しつつあるからだ。
しかし、この説明は表面的なものだ。問題は「なぜアメリカだけが金融緩和から脱却できるか?」であるからだ。ドル高の理由は、もっと深い。
金融緩和から脱却ができるのは、アメリカの実体経済が強いからである。つまり、ドル高はアメリカ経済の実体面での強さの反映だということができる。
強さが際立つアメリカ経済と
停滞する日本の鮮明な対比
アメリカ経済の強さは、さまざまな指標で確かめることができる。
まず、実質GDP成長率の推移を見ると、図表1のとおりである。
ここで示したどの国も、リーマンショックでマイナス成長に落ち込んだ。そして、2013年頃まではユーロ危機の影響があり、やや複雑だ。ただし、アメリカはかなり急速に回復した。
図表の15年よりあとは、IMFの推計である。これで今後の成長を見ると、かなり明瞭につぎの3つのグループに分けられる。
第1は、アメリカ、イギリス、それにアイルランドであり、2%強の成長を続ける。リーマン前に比べれば決して高成長とはいえないが、先進国間の比較でいえば、かなり高い成長率だ。
第2はドイツで、1%台の成長である。
第3が日本で、1%台ないしそれ未満の成長率しか実現できない。日本の停滞ぶりは、とくに第1グループ諸国との対比において鮮明だ。
つまり、アメリカ金融緩和脱却後の世界において、先進国は3つのグループに分かれることになるわけだ。第1はアメリカ、イギリス、アイルランドであり、先進国の中では最も高い成長率を実現する。第2はユーロの主要国であり、第1グループよりは低いが、成長を実現する。そして第3が日本であり、停滞を続ける。