「酔っ払いの会社員や学生が店内で暴れたりするとき、警察に通報しても店に来るのは20分後。酔っ払いの会社員や学生に注意をして、終わり。挙げ句に、『調書をとる』と言い始める。そんな時間は、俺たちにはない。そうしたとき暴力団員は『店から出ろ』と怒鳴り、それで解決。暴れる酔っ払いを叩き潰してくれる」

「子どもや親、塾にこそ問題がある」
暴力団員を擁護する地元の商店主たち

 暴力団員は刑務所に入っていたようだが、店主たちはそのことには触れない。むしろ、擁護する店主もいる。

「(刑務所に入ったことは)仕方がないんじゃない? あの世界の人には付きもの。親分の代わりに入ったのかもしれないよ」

 店主たちは、理屈抜きに暴力団員を守る。店を経営するためには、様々な意味で守護神のような存在なのだという。学習塾に怒鳴り込んだ「事件」についても、店主たちは暴力団員に同情的である。

「『はげ』とか『髪がない』なんて失礼なことを言った以上、その子どもや親、塾にこそ問題がある。厳しく教え込んでやるべき」

「難易度の高い私立中学を受験するわりには、行いはバカな子と同じ。親や塾の教育がなっていない」

「塾の社員は事件よりも以前、子どもたちを野放しにしていた。夕方から夜にかけて駅付近は、数百人の子どもでごった返していた。子どもをよけようとして交通事故が起きたり、バスやタクシーの運転手が迷惑をしていたんだ」

「迎えに来た親の車が、駐車違反ばかり。こちらが警察に通報し、どかしてもらったこともある。塾に電話を入れても、親には厳しく言わない」

「この地域では、塾に通う子どもたちの存在が問題になっていた。暴力団員がそれを抑えこんでくれた。その意味で、私たちの恩人だ」

 塾は急成長を遂げた。一方で、地域から理解を得ることをさほどしていなかったのかもしれない。「事件」は、駅の反対の改札口付近にある、名刺をつくる店や喫茶店でも知られていた。この店主たちも、暴力団員を称える。信じがたいことに、「これからも塾にもっと厳しく言ってほしい」と口にする。塾の経営のあり方を否定し、こき下ろしに近いほどにののしる。