アバナードは、2000年にマイクロソフトとアンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)が合弁で作ったIT企業。マイクロソフトの技術をビジネスの現場に導入するシステムインテグレーションを行っている。CEOのアダム・ワービー氏が来日し、デジタル時代の働き方の変革と新しいビジネスチャンスについての考えを語った。(取材・文・撮影/ダイヤモンド・オンライン IT&ビジネス 指田昌夫)

アダム・ワービー(Adam Warby) アバナードCEO/英国出身。2000年のアバナード創業時にマイクロソフトから移籍。営業部門の責任者を務め、2008年から現職

――アバナードの成り立ちについて、改めてご紹介ください。

 1990年代、マイクロソフトのソフトウェアは、個人の生産性を高めるITツールとしては広く浸透していましたが、ビジネスに広く使われるようになり、組織としての生産性向上のために高度な開発が求められるようになりました。そのため、アクセンチュアとのジョイントベンチャーによって、ビジネスとITの両方がわかる専門家集団として2000年に創業したのがアバナードです。

 これまで世界3700万社以上の顧客に対して、マイクロソフトのプラットフォームを使ってビジネスの課題解決を提案し、アプリケーションの開発やシステムの導入を行っています。

客室乗務員が
客席セールスの最前線に

――ワービーCEOは、「デジタルによる働き方改革」の重要性をよく話していますが、なぜでしょうか。

 当社では「デジタルワークプレイス」と呼んでいますが、私自身も情熱をもって取り組んでいるテーマです。これは、単にマイクロソフトのアプリケーションを企業に実装するだけでなく、それを使う社員がいかにデジタルで貢献できるのかが重要な指標になり、働き方の改善が求められているのです。

 デジタルワークプレイスの1つの事例として、私たちがお手伝いをしたデルタ航空の取り組みを挙げましょう。

 同社は当初、「ウィンドウズ8」による社内の生産性向上を目指してシステムの検討を始めましたが、すぐに、客室乗務員の生産性の改善に拡大しました。世界1万9000人の客室乗務員は、直接乗客と接する立場にいながら、乗客のさまざまな要望にその場で答えることができませんでした。

 調べていくとこの問題は、乗客のクレジットカードの認証機能をオンラインで行えるようにすることで多くが解決できることがわかってきました。そして同社は、客室乗務員が持っているウィンドウズのタブレットから、直接カード決済が行えるようにしました。

 こうしてデルタ航空では、機内販売などのサービスがより簡潔に済むようになって顧客サービスが改善したのですが、さらに興味深い副産物が得られました。

 例えば、乗客が飛行機に搭乗してから飛び立つ間のわずかな時間に、プレミアムエコノミーの座席に空きがあった場合、客室乗務員はエコノミーの乗客に「足元の広い席はいかがですか?」と声をかけて、その場でカード決済してアップグレードを完了させることができるようになったのです。