政府は年末の12月30日に、「輝きのある日本へ」と銘打った新成長戦略を閣議決定した。

 報道によれば、早期の策定に消極的であった菅直人国家戦略担当相に対して、12月15日に鳩山由紀夫首相が、年内の骨子策定を指示したと言われる。

 新政権のマクロ経済政策はどういうものなのか。市場と世論は、その基本方針を強く求めていた。今回政府が示した新成長戦略はその催促に応じたものだ。

菅担当相が提示した
新たな需要を創る「第三の道」

 菅担当相は、「あえて半年間は足元の景気をみる」として、先送りする構えであったことは本欄の第9回でも批判した。それを考えると、一転して、大枠の基本方針を年明け前に明示したことは評価できる。

 また、内容的に見ても、かなり妥当なものとして受け容れることができる。

 特に、将来の経済規模に関連して、思い切った数値目標を示した意味は大きい。

 すなわち、名目3%、実質2%の経済成長を実現して、2020年の目標年に、名目GDP(国内総生産)を650兆円に押し上げるとしたことに賛同する。

 ただ、そのための工程表や具体策は6月まで先延ばしにされた。

 今回の新成長戦略について、菅担当相は地球温暖化や少子高齢化対策などで新しい需要を創出する「第三の道」を行くと表明している。彼によると、第一の道は、公共事業による成長であり、第二の道は、構造改革による供給サイドの生産性向上による成長だという。

 果たして、「第三の道」によって大目標は達成できるのか。不安を感じるのは私ばかりではないだろう。