Googleの資金で
デファクトを目指すNest

 もうひとつのユーザー主導のプラットフォームは、「(2)自社の種々のIoT製品とアプリケーションを独自規格で提供する形」である。代表例は、すでに多く報道されているNestだ。NestはGoogleに32億ドルで買収され巨額の資金を得て、スマートホームのデファクトになろうとしている。セントラルヒーティングの温度調整器(サーモスタット)で市場参入し、ユーザーの宅内の固定場所を占有し、そこをハブとして他の機器をつないでいこうという戦略だ。

 SDK(アプリケーションの開発のためのソフトウェア・文書のパッケージ)をオープンにし、宅内通信の標準として“Thread”を提供、最近では親会社のGoogleがIoT向けのOS(基本ソフト)“Brillo”、通信プロトコル“Weave”を発表した。GoogleがAndroidで、Appleに伍して世界のスマートフォンを制覇した時と同じように、自社で提供するプラットフォームをオープンにし世界の標準とする戦略だ。

 一方、自社の機器で囲い込む戦略のAppleは、IoTでも同様の戦略を展開しようとしている。Appleの発表した“HomeKit”というIoT向けプラットフォームは、あくまでApple製品を中心とした他社機器とのつなぎを目的にしている。Appleの端末とつなぐことで囲い込む戦略は、iPhone/iPadなどのApple端末の累計出荷台数が10億台を超えている巨人にだけ許される戦略だろう。

 GoogleとAppleの取り組みは、スマートフォンのAndroid対iOSの戦略の違いがそのままBrillo対HomeKitに現れていて面白い。

 前述したSamsungや独立系ベンチャー企業に加えてGoogleとAppleの巨人が加わり、IoTのプラットフォームが俄然動き出してきた。

 気になるのは日本企業の反応の鈍さだ。日本では、スマートホームのような市場は伝統的に既存の大手企業により占有されてきた。新たな市場の波に対しては、自分たちのペースを維持できた。今回ご紹介したように、IoTではまずユーザー主導でプラットフォーム化の動きが加速しており、既存企業のペースでは追いつかない。ユーザー主導の動きに対抗するサプライヤー主導の陣営もたくさん出てきた(次回に報告予定)。

 スマートホーム市場での成功の鍵を握るプラットフォーム分野での日本の既存企業、ベンチャー企業の奮起を期待したい。