>>日の丸IoTの成否(2)から続く

IoTが進展すると、機器からシステム=クラウドの側にますます価値がシフトしていく

 前回では、アナログとデジタルの本質的な違いにより、IoTの本質である「進化する機器」に関して日本企業が出遅れてしまった理由を述べた。

 今回は、IoTの別の本質である「製品が部品になる」、「タイムマシン的機能ができる」ことの意味について解説する。そして、システムを握ること、データを活用してサービス型のビジネスに転換していくことの重要性について指摘したい。

システム=クラウドが
製品を「部品化」した

 ここから次の目的地に行くときにどの電車に乗れば良いのだろう。

 そう思った時、大半の人は携帯電話やスマートフォンで経路を調べるだろう。大したソフトウェア、データベースも入っていない携帯電話がなぜ瞬時に最適な経路を調べて教えてくれるのか、不思議に思われたことはないだろうか?

 これがネットワークにつながることの第二の本質を示す現象なのだ。

 ブロードバンドなどが普及していない時代、電車の経路を調べるには時刻表を見る以外に手段がなかった。通学や通勤で使う路線の時刻表をいくつも手帳に挟んでいた記憶のある人も多いだろう。

 その後、パソコンが普及するようになるとCD-ROM版の路線検索ソフトが販売されるようになった。これを使えば瞬時に最適路線が検索できるので使われていた方も多いだろう。しかし、この仕組みには大きな弱点があった。時刻表が改定されるとすぐに陳腐化されるため、常にアップロード版を入手する必要があったのだ。

 ところがブロードバンドが当たり前になり、携帯電話でインターネットができるようになり、さらにスマートフォンが普及するようになると、時刻表が改定されたのかどうかをほとんど気にする必要はなくなり、常に最新のデータで経路検索ができるようになった。

 その裏側で動いているのが「システム」だ。