本誌記者が急きょ体験
歯根破折の再植術

「割れてますね」。眞坂信夫・眞坂歯科医院会長は、歯科用顕微鏡でのぞきながら、静かな口調で語った。

差し歯と金属の土台・支柱を抜いた状態の写真で、記者の歯根の破折状況を説明する眞坂歯科医院の眞坂会長

 今回、歯根破折の取材の最中、「もしや、自分の歯根も割れているのではないか」と思い、その旨を伝えたところ、取材後に診察してもらえることになったのだ。

 レントゲン撮影では不明だったが、直接、歯の様子を顕微鏡でのぞくと、差し歯の入った前歯の根っこが割れていることが判明した。

「割れていても自覚症状はほとんどなく、疲れたりしたときにうずく程度」という眞坂会長の言葉を聞き、不安になって尋ねてみたのだ。記者は2年前、前歯の差し歯が抜け、別の歯科医師から治療を受けた際、「前歯の根っこが弱っているので、割れる可能性がある」と言われた。そういえば、ここ数ヵ月間、たまにうずくような痛みを感じていた。

 当初は「ひびが入っただけの軽症で接着剤を流し込む簡単な治療」との説明だったが、1週間後、あらためて眞坂会長が差し歯と土台を外し、詳しく診断したところ、歯根が完全に割れていた。「かなりの重症で状態は良くありません。成功確率は6割くらい」と告げられて不安になる。

 このような場合、一度、歯を抜いて接着剤で貼り合わせた後に、再移植するという大掛かりな治療になる。痛そうである。しかも、治療には20万~30万円は掛かるという。決して安くはない金額だ。

 だが、自分の歯を失うことは避けたい。思い切って治療を受けてみた。5月1日、部分麻酔の注射を打たれて、治療が始まった。顔には覆いの布をかぶせられているので、作業はまったく見えない。約1時間半後、眞坂会長は、記者の顔に掛かった布を外し、「取りあえず、成功です」と笑顔で語った。

 歯根の先の部分には、かなり膿も溜まっていたようで、その映像も見せられた。たまにうずく痛みはこれが原因だったようだ。

 ほっとした。今現在、再植した歯が安定するまで経過観察中であるが、順調に回復している様子である。

 なお、『ダイヤモンドQ』7月号には、「歯根破折の治療を行っている主な歯科クリニック40」のリストを掲載した。また、虫歯や歯周病などで、歯を抜かない最新治療法についても、掲載している。歯の悩みを抱えている人は参考にしてほしい。