赤ちゃんの好奇心
――ものを見つめることで、外の世界を理解していく

 生まれて1ヵ月もたつと、ひとりでいるときの赤ちゃんは、まわりのものをジッと見つめるようになります。

 ときには、1時間も泣かないで、ジッと見ていることがあります。見つめることで赤ちゃんは、外の世界を理解していくのです。

 生まれて2ヵ月もすぎて、まわりのものを赤ちゃんなりに理解してしまうと、いままでに見たことのない新しいものにしか興味を示さなくなります。

 赤ちゃんの興味は、新しいもの、ものとしての性質(たとえば赤い色)ではなく、そのものと自分が過去に経験したこととの関係なのです。

 ですから、同じおもちゃを見せても、興味を示す赤ちゃんと見向きもしない赤ちゃんが出てきます。

 赤ちゃんが体験したものと関係づけられない、まったく新しいものへは、赤ちゃんは興味を示さないものですから、新しいものといっても過去の経験と少しは関係があって、少しは新しいところのあるもの(中程度に新しいもの)を見せることが必要です。

マネる
――積極的にマネさせて世界をひろげる

 外の世界を理解するために、赤ちゃんは見つめているだけではありません。
 刺激に対して声を出し、目で追い、手でつかみます。

 たとえば、赤ちゃんに「ウ、ウ」と声をかけてやります。はじめのうち、赤ちゃんは反応しませんが、何度もくり返して「ウ、ウ」といっていると、やがてそれらしい口の格好をし、「ウ、ウ」にはならない声を出すようになります。

 この音に対して、母親はすぐ反応してやらねばなりません。お互いにマネしあうのです。

 そうすると、やがて「ウウ、ウウ」とお母さんがいえば、赤ちゃんも「ウウ、ウウ」と正しくいえるようになります。

 赤ちゃんは、いままで一度もしたことのないことはマネできませんから、マネをするとき、それまでにできるようになったしぐさで利用できるものをマネさせましょう。

 しかも、お互いにマネしあうことで、赤ちゃんは新しい運動パターンを出すことができるようになります。運動学習をするのです。

 赤ちゃんがまわりに見えるものを理解していくとき、赤ちゃんの興味をひく新しいものがないと赤ちゃんは退屈します。ぼんやりと見ているだけになり、積極的に反応しなくなります。

 こんなときに、脳の発達が遅れます。

たえず「中程度に新しいもの」を見せつけ、興味をもたせつづけなければなりません。

 一日に数回、赤ちゃんをうつぶせにするのは、首の筋を強くするだけでなく、赤ちゃんの見える世界を豊かにするのにもたいへんよいことなのです。同じものがちがって見えることを赤ちゃんは理解していきます。

 また、赤ちゃんに鏡を見せるのもよろしい。自分の顔が鏡にうつっていても、それが自分であることは、はじめはわかりませんが、鏡にうつったものが同じものでも、ちがって見えることがわかってきます。