授乳の期待反応
――満足感を与えると、赤ちゃんは「やる気」を起こす

 第1期の反射期(誕生~1ヵ月半ごろまで)の赤ちゃんは、乳頭がくちびるにふれたときに反射的に吸い、お乳が出るとそれを反射的に飲みこみます。

 くちびるに乳頭がふれて、その刺激で吸う反射が起こり、その結果、分泌される乳汁が口腔の粘膜にふれて飲みこむ、「嚥下(えんげ)反射」が起こります。

 しかし、第2期に入った赤ちゃんの様子はちがってきます。

 授乳しようとお母さんが腕に抱くと、いままでやっていた手の遊びはやめ、乳房を待ちうけ、口を開けます。

 乳首がくちびるにふれると、吸う反応をはじめます。くちびるに乳頭がふれる前から、それがふれることを予期して吸う運動を開始します。

 お母さんが腕に抱くことや、自分の姿勢が変わることで刺激される感覚が手がかりとなって、吸う運動を予期させるのです。

 運動はくり返すと上手になり、特定の手がかりで有効に行なわれるようになります。上手になるほど、少ない手がかりで、運動を待つようになります。

 たとえば、抱いて授乳するときに必ず「食事の時間ですよ」と同時にいうようにすれば、「食事」という声を聞いただけで、赤ちゃんは待つようになります。こうして前頭前野が働いて、外界の変化と自分の反応の関係を理解していくのです。

 赤ちゃんを抱いても授乳しなければ、赤ちゃんは反応をしなくなり、一度覚えた反応を忘れてしまいます。

 反応の手がかりは、数が多いほど有効です。

 反応を起こし、外の世界との関係を理解させるには、反応したあと必ず満足感(報酬)を与えねばなりません。

 そうすると赤ちゃんには、この次に手がかりがあれば反応しようという「やる気」が起こってくるのです。