見える世界
――見る方向で、きき手がわかる
生まれたばかりの赤ちゃんはよく目が見えませんが、しばらくたつと見えるようになります。
見えても見える範囲はかぎられていて、目のまわり20~60センチの範囲(上方、下方、左右、奥行)なのです。
また、大人がものを見るときのように、両方の目で同時に注視することはできません。
赤ちゃんが目覚めているときにものを見るように、刺激を与えることが必要です。生まれて3~4週間でものを見るようになるので、このころから視覚刺激を与えるようにします。
ものの形を覚えることと、視覚刺激に注意を向けるという積極的態度を覚えてもらうためです。
生まれたばかりの赤ちゃんがあおむけの姿勢で目覚めているとき、たいていの赤ちゃんが右のほうを見ています。
そのような赤ちゃんが大きくなると、たいていは右ききの子どもになります。
赤ちゃんのきき手を発見するには、赤ちゃんの反応を注意深く観察することです。
最初に与える人工的な視覚刺激としては、赤ちゃんが好んで見たがる距離のところに、ミルクを飲ませてくれる人の顔を描いた絵を見せるのがよいでしょう。
あおむけ姿勢で目から30センチほどはなれた場所に絵をおきます。
顔の絵は、赤ちゃんはこまかいところまでは見えないので、大まかに描いたものでよく、目・鼻・口とまつげがあれば十分です。
最初は、赤ちゃんの顔の上にあればよいのですが、赤ちゃんが注意して見るようになるときには、右、または左のほうへ動かしてみます。
そして、右、左と注視するようになれば、絵をゆっくりとゆすってやり、赤ちゃんが目で追いかけられるようにします。
絵だけでなく、あおむけになる場所を日に何度か変えて、赤ちゃんの目に入る光景も変えてやります。
変える回数は、赤ちゃんが興味をもって積極的に外の世界を見ているというのが条件ですから、興味深く見るのであれば、ベッドの移動回数を増やしていきます。
急に一日に何度も変えてみたり、変える日と変えない日があったりするのはよくありません。
赤ちゃんを一日に数回うつぶせにすることは、首の筋肉の訓練だけでなく、前に述べたように見るための訓練でもあります。